2025年04月27日
焼肉・4
「本当に俺、ハーバルの本社に行っちゃっても良いと思います?
それとも、別の仕事を探した方が良いのかな……
俺、この先どうしたらいいのか、ちょっと真面目に考えてるんです……」
おや、先刻の話がまだ終わっていなかったのかと一ノ宮はイツキを覗き込む。
それも黒川にではなく、一ノ宮に聞くのがまた、面白い。
「ハーバルの仕事は、イツキくん、好きなのでしょう?
お店での接客も、事務的なことも、意外と合うのだと思います」
「ん。俺、ちゃんと働くって初めてだったけど、ハーバルは好き。みんな良い人だし」
「そうですね……」
一ノ宮は手元のグラスを傾けながら、チラリと視線だけ黒川にやる。
黒川は知らぬ顔で、焼けた肉を皿に移し、新しい肉を鉄板に並べる。
「仕事を持つ、というのは良いことだと思いますよ。ハーバルも、良い会社なのでしょう。
ただ、ここを離れてしまうのは、また違う話になるのかと…。
イツキくんが近くにいないと……、私は、寂しいですよ」
「やだ、一ノ宮さんったら!」
そんなやりとりをして、イツキと一ノ宮は笑う。
そして、ついに、ハタで聞いていた黒川が罠に掛かる。
「仕事がしたいのなら、俺の仕事を手伝え。
石鹸屋なんぞ、辞めても構わんだろう」
「……マサヤの仕事の手伝いって、何?
ヤル、以外に何かある?俺……」
「…おまたせいたしましたー。日本酒2合とおチョコが3つ。
チョレギサラダですー」
posted by 白黒ぼたん at 22:56
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