2017年12月15日

艶声








本当の所を言えば梶原は、イツキと黒川の関係を、諸手を挙げて賛成している訳ではなかった。
理由は、今更。
ただ、イツキが辛くなく、不憫でなく、幸せに笑っていられるのなら、まあ、それも仕方がないのかな、と思っていた。


昼食を終え、トイレに寄った梶原は、廊下の隅で
先に教室に戻ると言っていたイツキが、電話をしている姿を目にする。
周囲の雑音に紛れてはいるが、意外と、普通の声。
話の内容が聞かれるのではないかと、こちらが、ドキドキする。






「……おはよ。……今、起きたの?……もうお昼だよ。……え?
俺、学校だよ。……行くって言ってたじゃん、……本当に学校だよ。ちゃんと、電車で……。
……朝?、声、掛けたよ?……マサヤ、返事してたよ?……ふふ、寝ぼけてたんじゃない?


…帰るのは…、夕方。……マサヤ、いないでしょ?……今日も遅い?……え?
…………やだよ、そんな時間から焼肉なんて。……今度、休みの日にね、……ん。


………ん。……解ってるってば。………」





通話を終えて、一人、くすくすと笑いながら、ケータイをポケットにしまい、教室に入っていくイツキを見ながら


梶原は、まあ、イツキが幸せなら、それもいいのかな…と、ぼんやりと思う。


そうして、梶原は、


収まりのつかなくなった愚息をたしなめに、もう一度、トイレへ戻るのだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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