2024年03月02日

階段









『イツキちゃん、気にしてたぜ? 
赤ん坊、見に行きたいけど、自分は駄目だって。
まあ、気持ちは解らなくもないけどな。
世界に生まれたての、まっさらサラサラ。綺麗で純粋なところに
肉欲まみれのドロドロで穢らわしいモンを近づけちゃ駄目だってな。

相談された?黒川さん。されないか、そうだよな。

イツキちゃんを、そんなドロドロにした張本人だもんなぁ。

そんな事、気にしちゃって、可哀想だよなぁ』





と、言う話でもして、からかってやろうと、松田は黒川の事務所を訪れる。
特に仲良しになった覚えもないが、与太話で酒を飲める程度には付き合いがある。

古い雑居ビル。2階に続く階段を上がると

丁度、事務所の扉が開き、中から出てくる人影が見えた。


まだ「男」と呼ぶには早すぎる、線の細い少年は、一瞬イツキかと思ったが違った。
階段の途中の松田に気づくと、顔を背けるようにして、すれ違って行った。
少し乱れた衣服や、泣き腫らした顔や。そんなものが無くても、そうだと思わせるだけの匂いがあった。



扉の影には黒川が立っていて、
入れ違いに上がってきた松田に気付き、あからさまに嫌そうな顔を見せた。





posted by 白黒ぼたん at 00:33 | TrackBack(0) | 日記