2018年06月21日

移動中








「ごめん…梶原。本当に……」
「いいよ、仕方ないんだろ?」
「本当にごめん。俺、付いてこなくていいって言ったんだけど…、マサヤが駄目だって…。
……佐野っちがいる方が、アブナイと思うんだけど……」



電車に乗り込み、扉側の手摺りに捕まり、二人並んで立つ。
佐野は少し離れた座席に座り、相変わらず不機嫌な顔で、こちらを見ている。


「……でも、今日は、何も話さないって約束したんだ。一歩離れたトコから、見てるだけって…」
「それはそれで、気になるけどな…」
「いない人だと思えばいいから!気にしなくていいから!」
「……はは…」


梶原は乾いた笑いを零し、佐野をチラリと見る。
……まあ、奴にしても、不本意なのだろうと思う。
それと同時に、そこまで心配し、警戒されるイツキの身辺はどうなっているのだろうかと思う。……それでも、
せっかくの機会なのだ。アレコレ考えていても仕方がないと割り切る。



申し訳なさそうに憂い顔を浮かべるイツキ。
今日は白シャツに黒パンツ。黒のロングコートはチェックの裏地。赤いマフラーが可愛い。



「いいよ、大丈夫だよ、イツキ。普通に、遊ぼうぜ? メシは?腹減ってない? 向こう着いてからで平気? …つーか、実は俺、今、腹ペコ」



梶原がそう言って笑うと、
イツキも、やっと笑って、「……ちょっと、お腹、空いてる」と言った。





posted by 白黒ぼたん at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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