2015年06月21日

昼下がりの情事・3






「いやらしくて、緩くて。…見境がない。エロビッチだ」
「……違います。……違うけど、しちゃったのは、先生でしょ?バレたら、困るでしょ?」
「困るのは、君でしょ?」



そう言って、加瀬は、イツキの手をぐいと引く。
イツキは椅子に座る加瀬に、抱き付く格好になる。
距離が縮まり、加瀬は、イツキの首筋に顔を近付ける。
耳たぶに唇をよせ、ふうと息を吹きかけ、ぺろりと舐める。



「…学校に、居たいんでしょ?…だから私に、近づいたんでしょ?」
「……別に。……そんなんじゃないし……」
「ギブアンドテイクで良いんじゃない?…君の得意分野だ。身体を売るなんて安いもんだ」




侮蔑の言葉にイツキは弾かれ、身体を起こす。
正面から向かい合う加瀬は、やはり、ニヤリと笑うばかり。




「体育の渡辺くんとも、よろしくやってたんだろう?…ああ、彼は、異動になったけどね」

「……あれは…、渡辺先生が…、勝手にその気になってただけです……」

「やはり、君か。渡辺くんが特定の生徒の便宜を図っていると、ウワサがあったんだけどね」



加瀬が掛けた鎌に、イツキは簡単に引っ掛かり、ますます立場を危うくする。






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2015年06月22日

昼下がりの情事・4







加瀬はニヤニヤと笑ったまま、イツキを見つめる。
イツキは返す言葉を無くして、加瀬から視線を外す。

手は、まだ繋がれたまま。
加瀬は、その手を引き、自分の口元に寄せ…イツキの指をべろりと舐める。



「…評価、随分、加減して貰ったんだろう?…駄目だね、ズルしちゃ。
まあ、体育は…苦手そうだよねぇ…、……ベッドの上、以外は…」

「……加瀬…せんせ?」

「……ん?」



イツキは加瀬に視線を戻し、少し、思いつめた表情を見せる。
空いている方の手を自分の胸元にやると、ためらいながらシャツのボタンを、1つ2つと外す。
上目づかいで覗き込む様子は、何か企んでいるのだとしても、可愛い。




「……もし…、今…、俺が……大きな声出したら……、大変?
……助けて…って。……加瀬先生に、乱暴されましたって騒いだら、……困る?」

「そうだね。困るね。…でもこの部屋は結構な防音でね、そうそう、声は外に漏れないよ」

「………あ、……そう」




加瀬の言葉に、イツキはがっかりしたのか、どこか安堵したのか。
今度は、ふんと鼻息を鳴らすと、不機嫌そうに頬を膨らませる。


「……じゃ、もう、ここでするから。……それで全部、チャラにしてよ」


そう言って、自分から加瀬に抱き付くのだった。




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2015年06月24日

昼下がりの情事・5







加瀬は、イツキを適当にからかい、揺さぶりをかけ、あわよくば次の約束を取り付けようか…と、それ位に思っていたので

まさか、今ここで始まるなどとは予想外で、驚いた。
さすがに場所が場所なだけに躊躇したのだけど、「する」と決めた時のイツキの、ダダ漏れする色香に飲み込まれてしまう。




イツキは、ああ言えば、こう返す、口達者な加瀬とのやりとりが、もう面倒になってしまった。
自分から持ちかけた取引のはずが、分が悪くなっていることは、解る。
どうせ最終的に、そう…なるのならば、いっそ今ここで、すぐに終わらせてしまいたいと、
半ば、自棄を起こしていた。







「……君って…、本当に……、こんな事ばっかり、してる…の?…」




肌蹴た上半身を加瀬に摺り寄せ、それだけで感じるという風に甘い声を出し、
くねらせた身体を、わざと、加瀬の股間に押し付ける。
多少、戸惑い、イツキを制しようと伸ばした加瀬の手を…するりとかわして、イツキは身を屈めて、今度は加瀬の股間に顔を埋める。



まだ何も脱いでいない状態なのだけど、ズボンの上から、イツキはそこを口に含む。
ある程度の硬さがあると解ると、目線だけを上にあげて、……嬉しそうに微笑む。




加瀬のベルトをカチャカチャと外すイツキの手は、まるで、大好きなオモチャを見付けた子供のようで




その、どこまでが演技なのかは、区別を付けることが難しかった。






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2015年06月25日

昼下がりの情事・6







イツキは自分で、自分のズボンと下着を脱ぐ。
…ボタンが半ばまで外れたシャツと、靴と靴下だけという姿。

いつ、自分の入り口を解したのか、加瀬の上に跨る時には、そこはもう湿っていて
先端を押し当てると、「……ふ」と、痛みのためではない声を洩らす。

加瀬が座るアーロンチェアが、後ろに反れ、軋みを上げる。
イツキは器用に加瀬に抱き付き、加瀬を、奥まで飲み込む。




「……酷い、……娼婦だな。……いつもこうやって男を、垂らし込むのかな」
「…嫌なら、やめるけど。………いや?」



返事の代わりに加瀬はイツキの腰を両側から掴み、2,3度振って、自分の腰に押し当てる。
イツキは振り落とされないように加瀬の首に腕を絡めて、また、声を上げる。
防音が効いているとは言え、無意識に口を噤み、くぐもった喘ぎを洩らす。
その様子が、いい。




「まあ、せっかくだからね。…ありがたく頂戴しようかな」



そう言って加瀬は、片方の手をイツキの胸元に滑らせる。
乳首を探し、摘まみ、爪を立てて捩じ上げると、……イツキの中が、きりりと締まった。




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2015年06月26日

情事・最終話







「……先生は、普通の、先生なんですか?」
「どういう意味かな?」
「……普通は、……しないでしょ?……こんなの」



とりあえずお互い、出すものは出して、すぐに後始末をする。
本意ではないセックスをして、しかもその相手の目の前で下着を履き直す時は、若干惨めな気持ちになる。



「…君だって、普通の生徒じゃ無いでしょう?」



加瀬はもう涼しい顔で、何事も無かったように、椅子に座る。
徐に机の上の電話を取り、伝言でも確認しているのかしばらく聞き入り、また電話を置く。
分厚いファイルをぱらぱらとやって、すっかり真面目に仕事をしている様子で、


顔を上げ、ようやく身支度が整ったイツキに、もういいよ、という風に手をひらひらとやる。



その態度にイツキは少しムッとして、それでも、長居は無用と踵を返す。
最後にドアの前で立ち止まって振り返り、加瀬に「…もう、これっきりですよ?」と言うと
加瀬は顔も上げずに、はは、と笑って「……どうだろうねぇ」と言うのだった。






ドアを開け、廊下に出て、ドアを閉めると
そこが学校だった事に気付く。
しばらく歩き出せずに居たのは、少し、吐き気がしたためだった。

洗面所に行こうかとも思ったのだけど、鏡に自分の顔を映す勇気は、今のところ持ち合わせが無かった。









馬鹿イツキ
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2015年06月27日

嫌な予感







『……イツキ、今、どこ?……もう、大野も来てるけど』
「………ごめん。………やっぱり、今日、むり………」
『え?だって…、お前から晩メシっ食おうって……』
「………ごめん」




待ち合わせの時間をはるかに過ぎた頃、梶原から電話が入って

イツキは、無碍に断ってしまった。

学校を出て、すぐに目の前を通ったタクシーを捕まえて、部屋に帰ってしまった。

洗面所の鏡を見ないようにして、風呂に入ると、尻の穴から、加瀬の精液がどろりと流れた。





風呂から出て、ソファで梶原の電話を受けて、またそのままソファに深く沈む。
確かに自分から誘って、断るのは酷いと思ったけれど…、さすがにこれから梶原達と、楽しい食事をする気分にはなれなかった。



スマホを握りしめた手をだらりと垂らして、イツキはぼんやりと宙を眺める。
一応、色々な事を反省しているのか、涙が一粒、流れる。
何も好き好んで、男に股を開いている訳ではないのだけど、いつも、結果は同じだった。




手の中のスマホが震える。
また梶原からだろうかと、イツキは視線だけ落とすように、スマホの画面を眺める。




電話は梶原からではなく、


イツキの、母親からだった。




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2015年06月30日

1.訃報








朝から細かい雨が降りしきる日。
イツキは佐野が運転する車に乗り、一度も訪れた事がない、実家へ向かっていた。




父親が死んだと報せがあったのは、昨日の夜の事だった。




「……制服にしたんだ?……あー…、便利だよな、制服って。……いつもの黒スーツでもいいような気もするけどなー…、あー、でも違うか、なんか……」


佐野はハンドルを握りながら、やけに明るい声で、そんなどうでも良い話をする。
そうでもしないと、重たい空気に、息が詰まるようだった。
ちらりと横目でイツキを見ると、佐野の話に返事もせず表情も変えず、ただ宙を眺めているばかり。
どんな因縁があったとしても、父親は父親なのだ。突然の訃報に、戸惑うなという方が無理な話だろう。




「………だよ、……佐野っち。…大丈夫」
「え?」
「大丈夫。俺、別に、普通だから……」


佐野の心配を察したのか、イツキはそう言うのだけど
その声は小さく掠れ、とても大丈夫だと言う声には聞こえなかった。





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