2016年01月22日

結論







「バイト、探してるんだって?…俺、誘われてるのがあるんだけど、今は無理だし、…それ、紹介しようか?」



イツキが図書室の小部屋でのんびりしていると、読みかけの本をぱたりと閉じて、大野がそう話し掛ける。
一人だけクラスが離れた大野は、最近は、イツキとこの部屋で話をすることが多い。
話題が少し遅れてしまうのが寂しいが、適度な距離感と、何より秘密めいたところが、いい。



「………もう、……しない」
「…え?」
「…一日だけ、したよ。梶原に紹介してもらったの…」
「へえ、どうだった?」


大野の問いに、イツキは少し不機嫌な顔をして、ふんと鼻を鳴らす。
その様子を見れば、そのバイトが上手く行かなかったのだということが解る。



「…あはは。…なんだ、何か欲しいもんでもあったのかよ?」
「…別に。お金が欲しかった訳じゃなくて…、……なんか……」


イツキはソファの上で窮屈そうに身体を伸ばし、それからまた器用に、落ちないように丸くなる。
その仕草は猫のようだと、大野はいつも思う。



「…なんか、お金って、…どうなってるのかなって。…俺、結構、お金の事でイロイロ…大変な事に遭ったし。今は、お金、あるけど…、多分、……あんまり良いお金じゃない。
ちゃんと、働いて、お金貰うのって、どんなものなんだろうって…思っただけ…」

「ふぅん。…それで? 答えは出た?」

「…まあね。…お金はお金だよ。綺麗も汚いも無いよ」



そう言って、イツキは小さく笑うのだった。





posted by 白黒ぼたん at 21:01 | TrackBack(0) | 日記

2016年01月24日

久々週末・1







週末は黒川と一緒に過ごす。
金曜日の夕方に部屋を出て、電車に乗る。
降りた駅のエキナカで、すぐに食べられそうな惣菜をいくつも買う。
良い匂いにつられ、つい買い過ぎて、荷物が両手いっぱいになってしまう。

黒川との部屋に着き、買い物袋の中身を広げていると、すぐに黒川が帰って来る。
品物を見て黒川は、「主婦かよ」と言って、笑う。
自分は小脇にワインを抱えていて、それを冷蔵庫にしまい、
替わりに冷えていたビールを取ると、惣菜の生ハムマリネのパックを持って、ソファに移動する。


黒川は仕事が残っているのか、ノートパソコンを広げ、何かカチャカチャとやっている。
それでもまあ、そんな大した案件でも無いのか、ビールを飲みつつ…時折テレビの古い洋画に目をやったりしている。
イツキは台所で肉を焼き始める。
生でも食べられるくらい新鮮、と言われていたので、半ば安心して、適当に焦げ目を付けた。




「……火を通し過ぎだ、馬鹿」
「…でも美味しいでしょ?」
「肉が良いからな」


焼き上がった肉と皿にあけたサラダをテーブルに並べ、食事を取る。
黒川は少し焼き過ぎた肉に文句を言いながらも、それをビールで流し込む。
イツキはサラダに入っていたオリーブが気に入らなかったらしく、それを一つずつ箸でつまんでは外に出す。


そして素知らぬ顔をして、オリーブだらけになった小皿を、黒川の前に差し出すのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:22 | TrackBack(0) | 日記

2016年01月25日

久々週末・2







ソファに並んで座り、映画を一本、見終わる。
実のところイツキは、話しの内容がよく解らないままだったのだけど、まあいいかとワインに口を付ける。
黒川が持って来たワインは丁度良く冷え、イツキが買ってきた難しい名前のチーズと良く合った。
黒川も、ワインを飲み、オリーブを摘まみ、後はニュース番組などを適当に見る。


「……そう言えばお前、バイトはどうなった。何か始めたんだろう?」
「…んー。…したよ。…一日だけだけど…」
「ふふ。どうせ使い物にならなかったんだろう?それとも、誰かにヤられて、泣いて帰って来たのか?」
「違うよ。もともと一日だけのバイトだったし、ちゃんと働いて…、…バイト代だって貰ったもん」


黒川はいくら貰ったのかを尋ね、イツキが正直に答えると、黒川は腹を抱えるほど大声で笑う。
確かに三千円という金額は、黒川にとっては、煙草代にもならないのだろう。
その様子にイツキは、多少、機嫌を損ねる。


「……笑い過ぎ、マサヤ。多分、普通だよ、高校生なら…」
「普通の高校生ならな。……お前は違うだろう?」


黒川は手に持っていたワインを飲み干し、グラスをテーブルに置く。
そして、そのまま隣に座るイツキをソファに押し倒すように、上から覆いかぶさる。
手を、簡単に、胸から腰に撫ぜつけると、それだけでイツキは身体を震わせて

目を閉じて、目を開けて、視線を流してから、黒川を見上げる。
一瞬で男を受け入れる、匂いを放つ。



「……違うだろう?……自分でも、知っていただろう?」



そう言う黒川に、イツキはこくんと、頷くのだった。




posted by 白黒ぼたん at 21:38 | TrackBack(0) | 日記

2016年01月26日

久々週末・3







ソファの上で唇を重ねながら、焦れ焦れと、黒川はイツキのシャツのボタンに手を掛ける。
1つを外すのに、どれだけの時間を掛けただろうか。
イツキは思わず、黒川の手を引いて、自分の素肌の上に乗せてしまいたくなるのだけど…それではあまりにも、欲しがり過ぎているようで、
仕方がないので頭を二、三度横に振って、甘ったるい喘ぎを零すだけにする。


始めるなら早く、始まってしまえば良い。
何かを試すようなこんな間合いが、イツキは苦手だった。

まして、途中で手を止められ、ふいにまじまじと顔を覗かれたりすると
もう、どんな表情で返して良いのか解らなくなる。




「…………あ。」



そしてこのタイミングで、イツキは先日の、佐野との一件を思い出す。

わざわざ報告するつもりは無い。

ただ、そんな事があったと、思い出してしまっただけだった。



イツキは慌てて口を噤み、目を閉じ
再び、黒川の手、だけに意識を集中する。
「…ああん」と声を上げてみたのは、うっかり洩れてしまった声を誤魔化す為だった。



黒川が小さな違和感に気付かなかったはずもないのだけど、そのまま、コトは進む。

ようやくシャツのボタンが全て外されて、露わになった平たい胸に、黒川は舌を這わせていった。




posted by 白黒ぼたん at 22:08 | TrackBack(0) | 日記

2016年01月29日

久々週末・4







唇を重ねながら胸を弄り、指先で乳首を摘まみ、腰を摺り寄せる。
それだけでイツキの息は上がり、次に与えられるだろう刺激を、待ち侘びる。
薄目で黒川の動向を伺う。
よもや途中で、手を離される事はないとは思うが…いつでも、不安になる。



欲しがり過ぎている。
同時に、小さな罪悪感が、頭の奥でチカチカと光り、障る。



「…イツキ」
「…………ん」


まだ下着を下ろしていない、股間の膨らみに手をやりながら、黒川が名前を呼ぶ。
イツキは脚を開いたり閉じたりしながら、どこか上の空の返事をする。

下着の上から、爪の先で引っ掻かれると、ゾクゾクする。
小さな刺激であればあるほど、神経の全てがそこに集まり、その何倍にも感じる。





「…俺に、謝れるくらいの話なら、いちいち言うなよ?」





そんな事を言って、黒川は、イツキの股間を、下着ごと口に含む。
軽く甘噛みし、熱く湿った吐息を与え、上下に揺する。


イツキは思わず腰を上げ、黒川の愛撫を受けながら、「……ん、……うん…」と返事をするのだけど、


黒川の言葉の意味が解ったのは、一通りの事が済み、落ち着いてからのことだった。




posted by 白黒ぼたん at 19:53 | TrackBack(0) | 日記

2016年01月30日

久々週末・5







寝室に移動し、ベッドに身を投げ出し、
お互い、忙しく、服を脱ぐ。

先刻までの焦らし加減が嘘のように、黒川はイツキを開くと、その中に一気に根本まで自身を押し込む。

多少湿り気はあったにしろ、痛みも、あったはずで。
イツキは眉間にしわを寄せ、上手に息をすることも、忘れてしまった。



逆に、黒川は、その痛みを楽しんでいる様にも見えた。
小さな声で「……きついな。…ふふ。……女とは違うな…」と、呟いていたのは、
幸い、イツキには、聞こえなかった。




実を言えば黒川も
数日前、横浜に行った時に、どこぞの女を抱いていた。
イツキが誰と、何があったのかは、知らないが、
それは所詮、その程度のことと思っていた。

それでイツキが罪悪感でも抱き、可愛い振る舞いになるのなら、それも一興と。





さすがに激しく動くのは無理なようだったので、黒川は一度身体を離すと
ベッドの脇のチェストから、あれこれ、必要な物を取り出す。
細長い、ごつごつとした突起のある玩具を取ると、それに、ジェルを滴るほど塗り
イツキの中に、差し込む。
イツキは小さく声を上げ、恐る恐る黒川を見上げ、自分が今、何をされているのかを理解する。


手、ほど、黒川の目は、怖くは無かった。
それだけでイツキはまた安心して、快楽に、流されていくことが出来た。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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