2016年04月25日

嫌なカンジ






イツキは勿論、自分が全ての人に受け入れて貰える種類の人間では無い事は、承知している。
自分のしている事を思えば、汚らわしいと蔑まされても当然なのだろう。

自分の事を良く思っていない相手は、肌で感じる。
それは仕方のない事だと理解していても、やはり、感じの良いものではない。


以前にも、黒川の身近で、イツキの事を良く思わない男がいた。
最終的にその男は、イツキに惚れ、身体の関係を持ち、真剣にイツキに思いを寄せてくれたのだけど。



「……どうしてるのかな…、木崎さん。もう、しばらく会ってないけど……」



ふと、その男を思い出し、イツキは声に出さずに感傷に浸る。
どんな状況であれ、自分を想い慕ってくれるのは嬉しいし、逆に、自分に嫌悪感を持たれるのは、嫌なのだろう。




事務所で会ったリーという男は、おそらく、イツキを好きでは無い。







「………ええっ、俺、いいよ。……一人で帰れる…」
「同じ方向だ。…乗せて貰え」
「……タクシーで…、…帰る…」
「また途中で問題が起きても面倒だ。…一緒に行け」


用事を済ませ、自分の部屋に帰ろうとするイツキに、黒川はリーの車に同乗するようにと勧める。
狭い車内に二人きりになっては、きっと息が詰まってしまうと、イツキは抵抗してみたのだが、

よく、解らない…、なんとなく感じる嫌なカンジは…、黒川には解って貰えないようだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:16 | TrackBack(0) | 日記

2016年04月26日

無表情






リーの運転する車の後部座席に乗り、イツキは品川のマンションまで送って貰ったのだが、
途中、息をすることも憚れるほど、車内が静かで、困った。

イツキはミラー越しに、リーの顔色を伺う。
別段、怒っているという風でも無いのだけど、無表情なのが、逆に怖い。



「………あっ、……牛乳……」



道すがらコンビニを見掛けて、つい、イツキは今日の買い物リストを思い出し声を上げてしまう。
その後慌てて口を噤み、リーを見て、視線を逸らせる。


リーは解り易く、ふんと、鼻で息をした。





「…すぐに降りられますか?駐車場には入れませんよ?」

マンションの近くまで来た時、ようやくリーが口を開いた。イツキは「…はい」と返事をする。


「……リーさんって、日本語、お上手なんですね」



と、それは、先刻事務所で、わざわざ中国語で話し掛けてきたリーへの、軽い嫌味のつもりだったのだけど、
リーは、やはり、無表情のまま


「あなたは日本語しか話せないのですね」


と、言うのだった。



posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記

2016年04月27日

モヤモヤ






部屋に1人、帰って来たイツキは、とりあえず
着ていたジャケットをソファの上に、叩きつけるように、脱ぎ捨てる。

ついでに、ソファを蹴飛ばす。

キッチンに入り、冷蔵庫から缶ビールを取り、
冷蔵庫のドアを乱暴に閉めると、中で、何か積んであったものが倒れる音がした。


馬鹿にされる事には、慣れているが、
決して、平気な訳ではない。
リーの、解り易い侮蔑の言葉が、胸につかえ、重い。



『…普通は、日本語だけで、十分でしょ?』
『あなたには十分でしょう。…あなたには、他の特技がおありでしょうから』
『…特技?』
『枕営業、と言うのでしたか?…ハハ、難しいですね、日本語は』




帰り際、車の中で、リーはイツキにそんな事を言ったのだった。




「………何なんだろ、あの人…。俺の事、どんな風に聞いてるんだろう。
……まあ、間違いでは無いだろうけどさ…、……それにしてもさ……」


イツキはソファに沈みながら、声に出して、愚痴を零す。
どうにも晴れないモヤモヤは、二本目の缶ビールを飲み終えても、晴れることは無かった。




posted by 白黒ぼたん at 22:27 | TrackBack(0) | 日記

2016年04月28日

微妙な空気







「おはよう、イツキ。……調子、悪い?」

朝、教室にいた梶原が第一声で気遣うほど、イツキの顔色は悪かった。
けれど、別に、熱があるなどの類ではない。


「…………飲み過ぎちゃった……」


イツキは小さな声でそう呟くと、すぐに机に突っ伏し、頭を抱え込む。
梶原は、病気ではない事に安心するのだが、…呆れたように大きなため息を付いて、

とりあえずと、教室を出て、下の自動販売機でスポーツドリンクを買って来てやるのだった。





「…何?なんかあった?……なんか、変な…、付き合い…、とか?」
「ううん。ウチで、一人で。……ちょっと嫌な事があって…、ビール飲んでたら、変なトコ、来ちゃったみたい…」


しばらく経つと落ち着いて来たのか、イツキは梶原のスポーツドリンクを飲みながら、そんな事を言う。
昨夜は、リーと別れた後、どうにも気が晴れずにビールを飲んでいたのだが、量はさほど多くなくとも、悪酔いしてしまったらしい。


「…嫌な事って…?」


梶原は、きちんと、問題点を拾う。


「……なんか、……俺の事、嫌いな人がいて…。……別に、そんなの、よくある事だし、別に構わないんだけど……」
「……うん?」
「……そういうのがある度に、……俺って、駄目なんだなって…、………思う……」



ぽつり、ぽつりと言葉を紡ぐイツキをどうに励ましてやりたくて、梶原は
「駄目じゃないよ、俺は好きだぜ、お前の事」と言うのだが、

その声は無駄に大きく、教室内を微妙な空気にさせてしまうのだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記

2016年04月29日

刹那







真夜中に突然、黒川がイツキの元を訪れた。
イツキはすでにベッドの中で眠りについていたのだが、物音で、目を覚ます。



「………マサヤ…?」



半分、寝ぼけた声で、黒川の名前を呼ぶと、黒川はニヤリと笑い、そのまま、スーツのまま、ベッドへ入って来る。

少し、お酒臭くて、煙草臭い、黒川の匂い。



「……どうしたの?………飲んで来たの?」
「……ん、まあな…。付き合いばかりで、疲れた……」
「スーツ、シワになるよ…」
「………ああ…」



寝ぼけたような声を出すのは、黒川も一緒だった。
おそらく本当に疲れていたのだろう。
一言、二言話すと、セックスを始める訳でもなく、イツキを抱き締めたまま、寝てしまう。


イツキも、一緒に、また眠りに落ちる。




2人でなら…沈み込むその先は、暗闇でも、煉獄でも構わないと、刹那に思う。







さて、何の準備も無いままに連休に突入してしまいました。
初日からヤられております…。
甘いお話を一つおいて、しばらく、お休みさせて頂きます〜あせあせ(飛び散る汗)
posted by 白黒ぼたん at 23:36 | TrackBack(0) | 日記
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