2016年05月25日

朝風呂・5







「……最近のマサヤは、俺に、意地悪だよ。忙しい、忙しい、ばっかりでさ…。
どんだけ横浜が忙しいのか知らないけどさ。…別に、それは、いいけどさ。
俺は、マサヤが留守でも、ちゃんとしてるよ?勝手になんて、遊ばないよ?
マサヤも、普通にしてればいいのに。…なんか、変だよ……」

「……うん?」

「…吉村さんに合わせたりさ。吉村さん、いい人だよ。俺、本当に好きになっちゃったら、どうするのさ?」

「勝手にしろよ」

「………ふぅん?」




しばらくイツキは寝室の扉に寄りかかり、愚痴めいた言葉を零していたのだけど
いつのまにか、黒川に手を引かれ、ベッドまで連れて行かれる。
押し倒された訳では無いが、肩にぽんと手をやられると、簡単に横になってしまうのは
悪い魔法にでも掛かっているようだ。




黒川の手が、イツキのシャツに潜り込み、素肌の上を擦る。



「……じゃあ、しようかな。…勝手に。……誰かと…」
「……ああ」



黒川の顔がイツキの正面に来ると、イツキは一度目を閉じて、それからゆっくりと、開く。
お互い、瞳の中に姿が映るほど近くにいても、本当の気持ちはさっぱり解らないので、


仕方なく、キスを、する。




posted by 白黒ぼたん at 23:14 | TrackBack(0) | 日記

2016年05月26日

朝風呂・6







黒川は、口を開けば嘘か、冗談か、意地悪しか言わない。
だったら、いっそ、何も話さないほうが、いい。
本当の気持ちは、声に出してしまうと、本当になってしまうから。
怖くて、言えないのは、イツキも一緒だった。


キスとセックスの間は、余計なお喋りをしなくて済むので、好都合だった。





時間が押しているせいか、どちらかと言えば雑な内容だったけれど。
唇を合わせながらあちこちを触り、黒川の手がイツキの脚に近寄ると、イツキの脚は自動的に開く。
中心に指を捻じ込む。
風呂上がりで多少は湿っていたようだが、入り口はきつく、なかなか緩まず、イツキは眉間にシワを寄せる。

すぐに黒川は体を起こし、ベッド脇のチェストの引き出しから潤滑剤を取る。
そして、それをイツキにベチャリと塗ると、今度は自分自身をあてがい、一気に中へと入っていった。



「………ひっ……」



酷い痛みと異物感に、イツキは短く叫んで息を止める。
けれど黒川はお構いなしに、イツキの腰を両側から掴むと、乱暴に動き始める。


別に激しく責め立てている訳ではなく。
単純に、黒川の自制が効かないだけで。






posted by 白黒ぼたん at 22:37 | TrackBack(0) | 日記

2016年05月28日

朝風呂・7






やがて痛みの合間から、じわじわと快楽が上る。
振り落とされないようにと、黒川の首の後ろに腕を回し
上手に、黒川の動きに合わせ、自分も、腰を揺する。
短く息を吐いて、時折、小さく叫んで、黒川の様子を伺う。


自分ばかりが、乱れていては恥ずかしいと、イツキは思ったのだろうが、
その心配は、まるで無かった。





イツキには、相変わらず自分を他の男に抱かせる黒川の態度が、不安でならなかった。
他の男を好きになるかも脅してみても、黒川は笑うだけで、それは自分に対しての干渉がその程度なのかとも思えて。


でも、今、こうして繋がってみれば、それはまるで逆なのだと気付く。


黒川にとってイツキは、もう何もかもが、自分の手の内なのだ。
気持ちも、身体も、何もかも。イツキの不安や不満など、何の問題でもないのだろう。
自分の意のままに動かして、当然の存在なのだと思っている。




『…勝手な男…』


と、イツキは心の中で小さく呟く。
それでも、髪を振り乱し、貪るように自分を求める黒川を
心底、嫌いになることは出来ない。

黒川の首に回していた手を外し、そのまま前にずらし、黒川の頬に触れる。
黒川は顔を傾け、さらにその手に、擦り寄るようにする。

瞬間、視線が絡み、微笑む。






posted by 白黒ぼたん at 00:37 | TrackBack(0) | 日記

朝風呂・8



「…イツキ。…おい、起きられるか?」
「…………ん…」



コトが終わり、イツキは気を失ったかのように、ベッドに深く沈みこむ。
それから暫くして、黒川に頬をペチペチと叩かれるまで、眠ってしまったようだった。

薄く目を開けると、黒川はすでにスーツに着替え、何事もなかったような顔をしている。



「俺はもう出るぞ?…起きられるなら、送ってやる。下に迎えが来ている」
「……え…、今、…何時……?」
「8時だ」
「……学校…っ。…行く、行かなきゃ…、行くから、…待って……」
「5分だけ待ってやる。早くしろ」



そう言って黒川は、先に部屋を出てしまった。
イツキはまだ完全に醒めてはいなかったのだけど、とりあえず、今日の一時間目だけには出なければいけなかったと、思い出す。
ベッドから跳ね起き、濡れた身体を拭き、大慌てで身支度をする。
あちこちに愛撫の跡が残っていたり、どうにも独特の匂いをまとっていたけれど、まあ、それに気が付くのはいつもの面子だけだろう。

はなはだ迷惑な話なのだけど。




急ぎ足で部屋を出て、マンションの外に出る。
正面の道路には、黒川の車が横付けされていた。
けれど助手席には、黒川が座り、運転席には、…リーがいて、

イツキは気まずそうにぺこりと頭を下げて、後ろの座席に乗り込むのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:58 | TrackBack(0) | 日記

2016年05月30日

朝風呂・9






「…社長。9時に桜木町です。少し押しています。先方は…」
「……糞、何屋だよ。朝っぱらから予定なんぞ入れるなよ」
「すみません…。役所絡みなもので……」


黒川とリーは、車の中でそんな話をする。
確かに、およそ堅気ではない黒川が、こんな時間に動き出すことは稀だろう。
イツキは小さく笑い「…マサヤ、普通の人みたい」と呟くと、
運転席のリーが、チラリと睨むのが、ミラー越しに見えた。





ともあれ、車は学校に到着する。
さすがに黒塗りベンツが正門前に横付けでは、人の目もあるので…少し、離れた場所に停めてもらう。
それでもイツキは辺りを伺い、誰か、知っている人が見てはいないだろうかと警戒しながら、ドアを開ける。


「イツキ」


イツキが車から離れたところで、助手席側の窓が開き、黒川が手招きする。
何か、言い忘れたことでもあったのかと、イツキが近寄ると
黒川は、イツキの制服のタイを掴み、引き寄せ、さらに顔を近づける。


遠目から見れば、まるでキスでもしているように。
もっとも、唇が触れていようが無かろうが、ほとんど変わりはない。




「イツキ。週末は出掛けるぞ。……広い風呂に入りたくなった」
「…誰と?」
「俺じゃ、不服か?」



そう言って、黒川は笑って、

イツキを見る…代わりに、視線を後方へずらす。

釣られて、イツキもそちらを見ると

そこには、唖然とした顔で立ち竦む、清水の姿があった。




posted by 白黒ぼたん at 00:03 | TrackBack(0) | 日記

2016年05月31日

朝風呂・最終話






黒川の車が行ってしまった後、イツキと清水は顔を見合わせ…イツキは気まずそうに頭をぺこりと下げる。
黒川はおそらく、清水の姿を見掛け、わざわざあんな事を言ったのだと思う。

自分に対して、イロイロ…勝手にしろだの何だの言っておきながら、やはりけん制したいのか、単純に清水を挑発したいのか、

いずれにしても、やり方が酷く、解りやすいと思った。



清水は、
黒川とイツキの会話までは聞き取れなかったものの
朝の学校の景色としては不似合いな二人の雰囲気に、まだ呆然とする。
イツキが黒川に乱暴されていたのではないかと心配する一方、ただ、仲を見せつけられているだけの様な気がする。


「………朝っぱらから、お盛んだな…」


清水はイツキに聞こえる声でそう呟いて、イツキの横を通り過ぎる。
イツキからは『……そんなんじゃ、ありません…』とでも返事が返ってくるのかと思ったのだけど



イツキはさらに顔を赤らめて、はにかんで、
「……はい」と、
小さく、答えるのだった。





ああっ、なぜか最終的に
清水が可哀想な話になってしまった…笑
posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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