2016年10月25日

幕間・6







「……やっ、……おれ、……や…だ…。行かない……っ」
「馬鹿、お前、こんな酔っ払いで、一人で帰れる訳ねぇだろ…、な」
「……や……」



焼き鳥屋の店先では予想通りのやりとりが繰り広げられていた。
事実、イツキは程よく飲み過ぎて、足元も覚束かず、そんなイツキを抱きかかえるようにして小林は、身体中を触る。



「……それに、お前もう…、感じてるんだろ?……ん?……ココ、勃ってるぞ?」
「……ちが……う…」
「な、悪くはしねぇからよ。………おいっ、…早く、車に乗せちまえっ」


小林がイツキの股間を掴むと、イツキは腰が抜けたように、力なく小林にもたれ掛ってしまう。
実際、イツキの身体は勝手に……始まっていた。
半ば酒のせいだとはいえ、目は潤み、頬を上気させ、肩を小さく上下させながら、湿った息を短く吐き出す。
これで、その気は無いのだと言い張っても、到底、信じられるものではない。


小林が路地の向こうに顔をやると、通りに面した場所にはすでに車が横付けされている。
先に店を出ていた、太った男が用意したのだろう。
太った男はイツキの傍に駆け寄り、小林と二人で、イツキを引きずり歩かせる。


「……やっ……いやっ……、んんっ」


抗うイツキの口元を手で塞ぐ。
車まで来ると手慣れた様子で、後ろのドアを開け、小林はイツキを抱いたまま車に乗り込む。
太った男は手早くイツキの足を折り畳み、ドアを閉め、自分は運転席側に回る。



どれだけ泣いても、無意味だった。
エンジンを掛ける頃にはもう、小林はイツキに覆いかぶさり、シャツの中に手を滑らせていた。
嫌がるイツキの顔を抑え、無理やり唇を合わせ、べろりと、酒臭い舌で顔中を舐めまわした。







posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記

2016年10月26日

幕間・7







決してそうなることを望んでいる訳ではないのに、いつも、反対の結果を招いてしまうのは、
自分が悪いのか、それとも、別に何か問題があるのか。
泣いても、許して貰えない事は知っている。



「……いてぇッ」


顔中をなぞる小林の舌が気持ち悪くて、引き剥がそうと、イツキは手をばたつかせる。
その拍子に、爪が、小林の頬を掠めたようで、小林は一瞬動きを止め、顔を離す。

次の瞬間、イツキの頬には、小林の平手が舞う。


「いい加減、大人しくしろっ。今更、勿体つけるなよ、この、ド淫乱が。
黙って股、開いてりゃいいんだよっ。

イツキ、お前は、そういう役だろうよッ」


そう怒鳴りながら、さらに何度か、イツキを叩いた。





車がすぐに出なかったのは、前に丁度、タクシーが止まってしまったからだった。
太った男は悪態をつき、ハンドルを叩くようにクラクションを鳴らす。
客を乗せたタクシーが発車すると、続いてすぐに車を出す。

けれど、その間に割り込むように、もう一台の車が急停車し、太った男は慌ててブレーキを踏む。


衝撃で、小林はひっくり返り、前の座席の背もたれにぶつかり、イツキなどは座席の足元に転がり落ちそうになる。



「……クソっ、どうした!?」
「急に車が割り込んで来たんですよ、…何だ?」




posted by 白黒ぼたん at 23:46 | TrackBack(0) | 日記

2016年10月29日

幕間・8







割り込んで停まった車から男が出てくる。
男は小林の車に近寄り、中から出て来いと言わんばかりに、フロントガラスをバンバンと叩く。
小林は男を見遣り、ちっと舌打ちすると、上着の襟を直し、渋々、車のドアを開ける。
座席の足元に半分身体を落としていたイツキは、どうにか起き上がると、驚いた様子で車の外を見る。


酷く不機嫌そうな顔をした男は、イツキが良く知る、男だった。




「……よう、黒川」
「メシは済んだだろう?…次は何を食う気だよ?」


開いたままのドアからまるで荷物を出すように、黒川はイツキの腕を掴み、イツキを車の外に出す。



「……マサヤ、どうして……?」
「……馬鹿が!」



まだ状況が飲み込めていないイツキは、黒川を見上げ尋ねるのだが、黒川の返事は相変わらずで、
また、荷物を積むように、自分の車にイツキを押し込める。


「…らしくねぇな、黒川」
「……イツキとヤりたいなら、ヤらせてやる。ただし、手順は踏め」


最後に黒川は小林にそう言って、自分も車に乗り込むのだった。




posted by 白黒ぼたん at 00:08 | TrackBack(0) | 日記

幕間・最終話






数分後には、イツキと黒川は二人の部屋のベッドの上で、身体を重ねていた。
イツキの身体は、酒と小林の手で、すっかりその気になっていたし、
黒川は、…部屋に入るなりイツキを2,3度叩き、それでも収まらない怒りを晴らすように、イツキを抱いた。




「……まったく、……馬鹿が。簡単に捕まりやがって…。……メシだけで、帰れる訳がないだろう……」



仰向けの自分の上に跨り、騎乗位で繋がるイツキに、腰を突き上げながら悪態をつく。

イツキは振り落とされないように黒川の胸に手をやり、もう片方の手はシーツを掴み、「……ん、……ん」と声を漏らして、首を左右に振る。



黒川は本当は、本当に、来るつもりではなかったのだ。
小林には借りもあるのだし、多少のイツキの不運はいつもの事だと、割り切るつもりだったのだが、どうにも…。

落ち着かず、気付けば横浜での会合を放り、自らの運転で湾岸を飛ばして来てしまった。

イツキが他の男にヤられるのは、構わない。
ただ、こちらにも計算があるのだ。勝手に、切り札を使われては困る。
…と、自分なりに、言い訳がましく、イツキを迎えに来た理由を並べる。




「……マ…サ……、……ん、んんっ……あ、……」
「…口も、チンコも、ヨダレまみれだ。……ったく、どれだけ欲しがれば気が済む。…こんなにエロイ匂い、撒き散らして…逃げられるはず、無いだろう…」
「……でも……、マサヤ、……来てくれた……」


黒川の腹の上に崩れ落ちながら、イツキはそう呟き、小さく微笑む。


そんなイツキを見上げ、黒川は馬鹿にしたように鼻を鳴らすも、どこか楽しそうにニヤリと笑うのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:30 | TrackBack(0) | 日記

2016年10月31日

閉じた唇






とあるホテルの一室。
来訪を告げるベルが鳴り、小林は飲みかけのグラスをテーブルに置いて扉に向かう。



「時間通りだね」



扉を開けるとそこには、黒いスーツを身にまとったイツキが、一人、立っていた。


招くと、イツキはぺこりとお辞儀をして中に入る。
小林はニヤニヤと笑い、扉の鍵を厳重に掛ける。


「何か飲むかい?」
「いえ、今日は結構です」
「シャワーは、使う?」
「どちらでも。……用意は、…して来ましたから」


イツキは部屋の中ほどまで進み、少し硬い表情で、所在なく立ち尽くす。
小林はテーブルに置いたグラスを持ち直し、イツキを眺めながら、一口、飲む。



「どうせ、こうなるなら、あの時そのまま、しちゃえば良かったのにね」
「……それは、……マサヤが、決めることだから…」
「じゃあ、今日は、黒川が決めたから…来たんだ?。…偉いね」



馬鹿にしたように小林は。笑い、イツキの傍らに立つ。
イツキの顎を掴み、自分に向けてみるが、イツキはふいと、顔を反らせる。


その顔を、小林は強引に、もう一度自分の方に向かせて、



イツキの閉じた唇に、自分の唇を、重ねるのだった




posted by 白黒ぼたん at 23:48 | TrackBack(0) | 日記
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