2017年03月01日

馬鹿な子・10






見えなくても、加瀬が自分の尻の前に顔を寄せているのが解る。
…入念に洗浄した、石鹸の匂いの中から、何か別の匂いを嗅ぎ分け、笑っているような気がする。
そして、それを思うだけで、残念ながらイツキは、軽く、感じてしまう。



「……うん?……お口が、…ぱくって開くね。……どうしてかな?」


そんな事をわざわざ聞く。


「……せんせ、……でんき…」
「……ふふ。……じゃあ、いい声で鳴いたらにしようか…」


加瀬は指の先で、イツキの尻の真ん中を撫ぜ下す。
くぼみを捏ね回し、少し中に押入れ…、小刻みに揺らし、また戻し。
そして何か持ち合わせていたのか、潤滑剤かクリームのようなものをそこに垂らす。
馴染ませるように指で擦り、くちゃくちゃと、音を立てる。


「………や……、ああ…ん…」


感触に、思わず声が漏れる。
腰が逃げそうになると、加瀬はそれを許すまいと抱え込み、今度は2,3本の指を、一気に奥に差し入れる。
中は熱く、潤滑剤でほどよくぬめり。一瞬緩んでは、慌ててギュウギュウと締め付けてくる。
加瀬は指を中で鉤のように曲げ、中を掻き回す。
次第にイツキの喘ぎ声が大きくなり、性器の先からは透明な汁が滴る。


加瀬にとって目の前の子供は、自分の学校の生徒などではなく、ただただ、性的欲求を満たすための相手に過ぎない。
この関係が危険なものだとは当然、解っているのだけど、イツキを前にその衝動を止めろという方が、無理な話。



「……君はさ…、本当に…、……ヤバいよね……」


加瀬は独り言のようにそう呟いてから
指を引き抜き、今度は自分自身を埋めようと、ズボンのベルトを外し始めた。

どうやら部屋の明かりを消す気は、無い。





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馬鹿な子・11







それはちょうど先端をくぐらせたあたり。
イツキも加瀬もコトの真っ最中で、少しの物音には気付かない様子。
扉が開き、人の気配がする。
加瀬は西崎が、様子を見に来たのかと、横目で後ろを伺う。




「……ああ、お構いなく。どうぞ続けて」




男の声に、加瀬は思わず後ろを二度見する。扉の枠にもたれかかり煙草をふかす男は西崎ではなかった。


「…あ、…あ…、……あんた、誰だっ?」

見覚えのない男に加瀬は驚き、素っ頓狂な声を上げる。
思わず身体を起こし、掴んでいたイツキの腰を押す。四つん這いだったイツキはそのままぺしゃんと倒れ、ベッドにうつ伏せになる。
そうなって初めて、何かが起きたことを知った。



「…だっ、誰だ?…なんで…?……に…西崎さん、これは一体どういう事だ?」
「西崎は帰したよ。……あんた、俺を知らないのか。……お目出たい男だな」



言い合う男たちの声に、イツキはもぞもぞと身体を動かし体勢を整える。
毛布を手繰り寄せ、身体に巻き、思いもよらなかった男の姿を見る。



「………マサヤ……」


そこに立っていたのは、黒川だった。
その姿に息が止まるほど驚いたのは、加瀬ばかりでは無かった。





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2017年03月02日

馬鹿な子・12






加瀬は呆然と、その場に立ちすくむ。
上背も肩幅もある鋭い目をした男。見るからに仕立ての良いスーツ。
仕事柄、生徒の父兄とよく会うが、そういった人種とは明らかに違う。
イツキの知り合いらしいが、間違いなく、父兄などでは無いだろう。


「………だ、誰だ?…」


加瀬は、黒川とイツキを交互に見る。


「……マサヤ。……黒川…マサヤ。…俺の……」
「持ち主だ。……こいつが勝手に「営業」するもんでな、少し、話をしに来た…」


黒川は「イツキの持ち主」と、言い切る。
まともな話など、あるはずが無い。


「…話し?」
「ああ。いや、でも終わってからでいいぜ?…途中だろう?」


言われて、加瀬はようやく自分の状態に気付く。
丸出しの下半身。イツキに挿入しようとしていた物は、突然の出来事にすっかり萎えてしまっていた。
かろうじてシャツは羽織っていたが、それが一層、滑稽で。


「……使い物にならんか。…ふふ」



笑われて、慌てて加瀬は自分の股間を隠すのだった。



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2017年03月03日

馬鹿な子・13







黒川が突然現れ、驚いたのは西崎も同じだった。
今日、この時間に部屋を取ることは、一応、黒川に報告はしていたのだが
まさか、訪れるとは思わなかった。

『悪いな、西崎。気が変わった。…イツキは、ナシ、だ』

西崎はリビングのソファでアダルト番組を見ながら、次の順番を待っていたのだけど
黒川にそう言われては、もう、どうする事も出来ない。

『…イツキは?』
『寝室です。…加瀬さんと。…ちょい前に始めたトコロです…』
『…ふぅん』


黒川は愉快そうに鼻を鳴らす。
そして『ご苦労だったな』と、西崎に多少の金を渡して、部屋を出させる。

西崎は廊下に出てから舌打ちをし、
『…なんだかんだ言ってもなぁ…、結局は、イツキを手放さねぇんだよなぁ…』
と、愚痴を零すのだった。







「加瀬さん?…イツキの学校の、副理事さん?……イツキがいつも世話になっているそうで…」


股間に萎えたイチモツをぶら下げ、脱ぎ捨てた下着を探す加瀬に、黒川は挨拶する。
もっとも、加瀬に返事をする余裕はない。

イツキは、まだ何が起きているのか解らないといった顔で、黒川の顔を伺っては…、視線が合うと慌てて俯いたりする。
黙認されていたとはいえ、自分が悪い事をしているという、自覚はあるのだ。





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2017年03月05日

馬鹿な子・14







ようやく加瀬は脱いだ下着を手に取り、慌ててそれを身に着ける。
「イツキのような子」と関係を持つこと自体、罪悪感は持っていないにしろ…
そのパトロンを前にしては、話は違う。


「……言っておきますけど、…この子から、誘ったんですよ?……この子から」
「ああ。そうらしいな。…こいつは尻が軽い」


そう言って、黒川はイツキを見て笑う。問題は、それ、では無いらしい。
加瀬はといえば、脱いだ時に裏向けになったズボンを直すのに苦労していた。


「…何回、ヤった?」
「…い、一度か…二度か…。でも全部、この子から言い出したんですよ。頼み事があるからって…」


加瀬の言い分と少ない見積もりに、イツキは思わず顔をあげるも、口を挟むことはしない。
こんな場面で自分が何を言っても、自分が叱られるだけだと知っていた。

恐る恐る、黒川を伺う。
黒川はニヤリと口の端を釣り上げたまま、鋭い目線を加瀬に向ける。
加瀬は、逃げるように寝室を出ようとするのだけれど、入り口の前に黒川が立ち塞がり、通ることが出来ない。



「あんた。こいつの、相場、知ってるか?」
「……相場?」
「こいつと寝るのに、いくら払うかって事だよ。クソみたいなガッコーのクソ頼み事だか何だか知らんが…、少々、安すぎるんじゃないか?」
「…金か?…金を出せと言うのか?……そ、それじゃあ、まるで、強請りか美人局じゃないか!」

「ああ」


いかにもそれが正論という風に、黒川は語気を強めた。




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2017年03月06日

馬鹿な子・15







黒川は指を二本立て、「コレでいいぜ」と言う。
加瀬はようやくズボンに足を突っ込み、ベルトをカチャカチャやりながらそれを見る。


「…2、…二万?」
「阿呆。桁が違う」
「……二十万…?」
「もう一つだよ」
「…ばっ…馬鹿な…、そ、そんな話があるか…!」


法外な額を吹っ掛ける黒川に加瀬は思わず声を荒げる。
そして、これ以上話を続けても意味が無いと言わんばかりに、顔を顰め、黒川の脇をすり抜け部屋を出ようとする。



「…ぎゃッ」



瞬間、黒川の腕が加瀬の目の前に伸び、その胸ぐらを掴み、壁に押し付ける。
片手で十分だった。片手で、加瀬の動きを封じ、締め上げる。

身体を寄せ、顔を近づけ、鋭い視線で加瀬を射貫く。





「馬鹿はお前だ。イツキは俺のものだ。それくらいの対価は払ってもらうぜ」

「……ひっ…い…っ」


加瀬は、次には殴られるのではないかと怯え、顔を手で隠す。



けれどそれは杞憂に終わる。

加瀬が薄目を開け黒川の様子を伺うと、黒川はニヤリと笑い、胸倉の手を緩めた。





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2017年03月07日

馬鹿な子・16






「はは。冗談だよ、センセ。イツキが世話になっているからな、今までの分はチャラだ」



黒川は両手を広げ、笑いながら、そう言う。
それはとても冗談とも、楽し気な話とも思えなかったが。

それでも加瀬はこの場から逃げられると、壁を這うようにして、黒川から離れる。


「…そ、そうか。…じゃ、じゃあ、私はこれで失礼するよ…」
「ああ。後ろから刺されないように気を付けて帰れよ」
「は、は…。そうするよ…」
「……センセ?」


もう少しで部屋を出られる加瀬を、黒川は呼び止める。
…おもむろに、…スーツの内ポケットに手をやるものだから、加瀬は本当に、そこから刃物でも出てくるのではないかとすくみ上る。

けれど、出て来たのは煙草で、黒川は静かにそれを口に咥える。




「………次は、無いぜ?」



煙草に火を付け、煙を吐き出し、黒川はそう言う。
加瀬は返事の代わりに引きつった笑みを浮かべ、一瞬だけ、イツキを見遣ってから……、ホテルの部屋を出て行った。





バタンと扉が閉まり、少しの間、静寂が訪れる。

「……さてと」

黒川は吸っていた煙草をテーブルの上の灰皿に押し付け、くるりと向きを変え、寝室に向かう。
ベッドの上ではイツキが、蛇に睨まれたカエルのように身動き一つ出来ず


黒川の、審判を、待っていた。





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2017年03月08日

馬鹿な子・17






黒川は黙ったままイツキの傍に歩み寄る。
イツキは…、一応、助けてくれた黒川に礼を言った方が良いのだろうかと…口を開けてみるも…、声は出ない。
何故か喉の奥が乾きヒリヒリとする。ともすると、息も出来ない。


ベッドの横まで来た黒川は、口の端だけ釣り上げ笑ったまま、イツキが身体に巻いていた毛布を引く。
部屋の明かりは煌々と灯されたまま。隠しようもなく、裸のイツキが晒される。




「……マ…サヤ、……あの、……えっと。……来てくれるなんて…、思わな…か……」
「同じ格好になれよ」
「……え?」
「…さっきと。…俺が来た時と同じ格好だよ」
「………え…」

「早くしろ」


静かに怒鳴られ、感謝も弁解もする余地もない。
イツキはもぞもぞと動き、ベッドの上で四つん這いになり、尻を黒川に向ける。

それは、先ほどの…下着姿の加瀬同様、酷く惨めで滑稽な姿だった。




「良い様だな、イツキ。裸でケツ突き出して、突っ込まれるのを待っていたか」




尻を黒川に向けているイツキには、黒川の表情は伺えない。
けれども、黒川が自分の皮膚のすぐ近くにいることは解る。

馬鹿なイツキは、それだけで感じてしまう。
そして、それは、すぐに黒川に伝わってしまう。




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2017年03月12日

馬鹿な子・18







「こうなると解っていて、自分から仕向けたんだろう?
ココに、…挿れられると解っていて……」


黒川はイツキの蕾に人差し指の先を当てる。
少し、揺らし、少し、無理に押し込めると、つぷんとそれは中に入る。
加瀬が使ったジェルの感触がまだ残っているのか、中はべたつき、そう力を入れずとも指の途中までは簡単に飲み込む。

黒川は、一度指を引き抜き、今度は人差し指と中指を中に入れる。



「…相変わらず、…ユルイな。…お前の身体は。
…遊ぶのは勝手だと、いつも言っているが…、深みにハマって抜け出せなくて困るくらいなら…、最初から何もするなよ。

…途中で、止められるはずもないだろう。相手も。お前も」



中で指をくちゅくちゅと動かしながら、黒川は後ろからイツキに覆いかぶさるようになる。

背中に、ぬるりとした感覚があったのは、黒川が舐めたからだろう。

尾てい骨から、うなじまで、じっとりと舐め上げる。
それだけでイツキは、泣き出したくなるほど、感じてしまう。



「………ん。……あ…っ………ん…」



変なタイミングでイツキが鳴く。
おそらく自分でも、自分の身体がどこまでキているのか、解っていない。

中の、黒川の指は絶え間なく、瀕死の芋虫のように小刻みに動くばかりで。
決定的な刺激を与えてくれるわけではない。
欲しいところを掠めたかと思えば、力を抜かれてしまう。


…尻が、化け物の口になってしまえば良いのにと、イツキは思う。
こんなにもどかしい思いをするくらいなら、いっそ、大口を開けて黒川の腕ごとばくりと飲み込み、そのすべてを咀嚼出来れば良いのにと、思う。




「……足りないんだろう?」


そして、イツキの考えを見透かしたように、黒川が言う。





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2017年03月13日

馬鹿な子・19







黒川がイツキの中から指を引き抜くと、イツキは、ぱたんとベッドに倒れてしまう。
顔をシーツに伏せたまま、苦しそうに湿った息を吐き、中途半端な快楽に身体を震わせる。

黒川はベッドに上がると、イツキの髪の毛を掴み、自分の方へ向けさせる。
閉じた瞼。長い睫毛に、涙の粒。薄く開く、唇。紅潮した頬。



「言う事があるだろう?イツキ」



黒川は、イツキの髪を掴んだまま、何度か揺する。
イツキは目を開き、一度閉じ、もう一度開き、黒川を見る。
事の最中のイツキは、男の欲を激しく掻き立てる。



「………マサヤ」
「…うん?」



黒川は、イツキが堪えきれずに自分から誘うようにと煽っていた。
それでもまだ、焦らし、焦らし、早贄のようにじっくりと楽しむつもりでいたのだが、

イツキは身体を横向きに替えると、そのまま腕を伸ばし、黒川の首の後ろに巻き付ける。
身体を寄せ、脚を絡めたかと思うと…そのまま黒川の身体をを引っくり返すようにして、自分が上に乗る。

黒川は少し意外そうな顔をして、胸の上のイツキを見上げる。
イツキは、泣きそうな顔のまま、口を尖らせ、頬を膨らませていた。




「……俺のこと、助けてくれたんなら…、もう意地悪しないで、優しくしてよ。
俺、マサヤが来てくれて、嬉しかったんだから……」



そう言い終わると、イツキの目から、涙の粒がぽろりと落ちた。
じっくり楽しむ予定だった黒川の、事情が変わった。




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2017年03月14日

馬鹿な子・20






黒川は
自分の上にいたイツキの、頭の後ろに手をやり…そのまま、胸に押し当てる様にして、抱き締める。
イツキは黒川の腕の中で、身動きが取れなくなり…、しばらく、じっと息を潜める。
お互い顔も見れず、どんな表情をしているのか解らない。
どちらのものか区別がつかない、心臓の鼓動が聞こえる。



「……糞」


黒川は小さく悪態をつく。
けれどそれは決して、怒っている訳ではないようだ。



二人でぐるりと向きを変え、横向きに。
少し身体を離し、顔を突き合わせ、見つめ合う。

黒川は、怒りというより、むしろ呆れたような、気が抜けたような表情で
それを見てイツキも安心する。

イツキが、小さく、微笑むと、黒川はふんと鼻を鳴らす。



「……とにかく。自分で面倒見切れなくなるなら、安売りはするな。いちいちお前の尻拭いなんぞ、できん。
くだらん揉め事を起こすようなら、高校に通うのも考えるぞ。…お前は、俺の言う事を聞いていればいいんだ。
だいたい……」



また小言を言いかけて、止める。



とりあえず二人は、一度、キスをすることにした。





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2017年03月17日

馬鹿な子・21






長い長いキスを終えると黒川は一度身体を起こしベッドの脇に立つ。
そして、自分で、自分の服を脱ぐ。

実を言えば部屋の明かりは、まだ煌々と灯されたまま。
鍛え上げられた肉体。むき出しになった欲望の形。逆に、イツキは照れて、視線を逸らせる。



「……マサヤ。…電気……」

言い終わらない内に部屋の明かりが丁度良い加減まで落とされる。
同時に、黒川が、再びイツキの上に重なる。
今度は触れるか触れないか、もどかしい感触のキスを繰り返し、
指先は軽いタッチで、乳首をこりこりと、摘み上げる。
手の平の皮膚一枚で、鳩尾から腹、腰骨のあたりをなぞる。




黒川とのセックスは、いつだって、良い。
頭で確認しなくとも、身体はすでに期待している。
腰が疼いてしまうのも、中心が熱く爛れて来るのも仕方のない事なのだけど
あまりに、簡単すぎて、イツキは自分でも呆れてしまう。



『マサヤ。そんなに優しくしなくてもいいのに。無理やり、乱暴に来ちゃって、いいのに』



イツキはそう思い、そしてこれではさっき言った事と真逆だと気付き、困ったように首を左右に振る。
目を開くと、正面に黒川の顔があって、黒川はニヤりと笑っていて、



イツキの、コトなぞ、すべて手に取る様に解っている、といった風だった。





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2017年03月18日

馬鹿な子・22







「……あっ、……あーっ……あーっ……ッ」


やがて頼まなくても事は激しくなる。
どこぞから取り出したジェルを塗り、全ての指を使って中まで馴染ませ、一気に黒川自身を埋める。
イツキの腰を持ち上げ、一番奥へと行ける角度を探し、小刻みに揺らす。

イツキの中は黒川をしっかりと咥え込み、息をするように少し緩んだかと思えば、急に締上げ、奥へと引きずり込む。



「……やっ……、だめだめ、マサヤ……」
「………く。………お前がやってるんだろう…、イツキ……」
「だって、……マサヤが……、あっ……、………だめだめだめ…」



身体を弓矢のようにしならせて、イツキは射精もせずに、勝手に行ってしまう。
こうなると、もう、イツキは止める事が出来なくなる。

中で黒川が少し動いただけでも、行き、腰に手をやっただけで、泣いて、行く。
イツキ自身、自分に困り、口元に手をやって、漏れ出す何かを止めようとするのだけど
すぐに痺れが、脳天に届く。口から洩れるのは喘ぎと、意味の解らない言葉ばかり。





勿論、こんなイツキは、黒川も見慣れている。
何度見ても、良いし、こんな風になる身体は、イツキ以外に、出会ったことがない。




「……お前、…これを、……他の男にも…やってるのか?」

ふいに黒川がそう尋ねると、イツキは、真偽のほどは定かではないのだが

「……マサヤと、だけだよ。……こんなに、なっちゃうの……」

などと、言うのだった。



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2017年03月21日

馬鹿な子・最終話







翌日、二人は何事も無かったように、普通にホテルを後にする。
あまり口も開かず、目も合わせないのは…若干、夕べのコトが、甘すぎ熱すぎた為だろう。

交わった瞬間の高揚した気持ちが、世界に二人だけの濃密な時間が、夜が明けてまで長続きするほど、まだ二人は本当の恋人同士ではないようだ。



それでもイツキは別れ際にもう一度、黒川に礼を言い、
黒川も軽く、悪態を付く。
そして、仕事が忙しいなどといつもの言い訳をして、イツキを残し、どこぞへと行ってしまうのだった。








「………マサヤはさ。……優しくしてくれるなら、ずっと、優しくしてくれれば良いんだよ。……意地悪言ったり、俺を他の男に抱かせたり、俺のこと、どうでもいいみたいに扱って……、そのくせ、何かあると、結局優しくて……、エッチもものすごく良くてさ……

俺、どっちの気持ちでいればいいのか、解んなくなる。

……うっかり、……もう、マサヤの傍にずっといちゃおうかな…とか、思っちゃうんだけど……、あいつが今まで俺にして来た事、思うと……それもちょっと、悔しいって言うか…

………ね、どう思う、佐野っち」


夜。どうにも気持ちの収めどころが解らないイツキは、佐野を呼び出し愚痴を並べる。
佐野は、ラーメンを啜りながらイツキの話を聞き流し、西崎の機嫌が酷く悪かったのはコレのせいかと思い当たる。


「………あー、まあ、急いで答え、出さなくても良いんじゃね?  そんな簡単なモンじゃねぇだろ、多分」


佐野の適当な返事に、イツキは神妙な顔をして

「…うん」と、小さく、答えるのだった。





ひとまず、終わり。
まだ書き足りない事もあるんですが、ちょっと膨らみ過ぎちゃったので…

結局、黒川の溺愛ぶりばかりが目立つ話になってしまいました…笑
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2017年03月26日

後始末






学校。副理事室。
ノックの音の後に入って来たイツキの顔をチラリと見て、加瀬は不機嫌そうに「……何?」と聞く。


「……えーと。……ちょっとお話が…」
「私は、無いよ。……帰りなさい」


以前とは比べものにならない程、素っ気ない様子で、加瀬は手をひらひらとやる。
そこそこの地位も権力もあるオトナが、事の最中に真っ裸で追い出されては、態度を改めるのも当然だろう。

とんだ恥をかかされたと加瀬は不機嫌面で、イツキを睨みつける。
イツキは、…申し訳なさそうに小さく微笑み、加瀬の傍に歩み寄る。


「…聞いていた話と違うけどね。…バックに、あんな人がいるなら、私も考えるよ」


加瀬の「聞いていた話」というのは、イツキの立場的な話で。
もともと加瀬はイツキの事を「西崎の所でそういった仕事をしている子」ぐらいにしか聞いていなかった。
後になって、イツキが西崎の上役の黒川に可愛がられていると知ったのだけど、まさかあんな風に助けに入るほど、護られているとは思わなかった。


「……いつもは、俺のすることなんて、気にもしない人なんだけど…。この間は、なんか、たまたま…。……せんせ、気、悪くした?」
「悪くしない奴なんて、いないと思うけどね!」
「……そうだよね。……ごめんなさい…」


イツキの、どこかふわふわとした口調や、そこで謝る理由が、どうにもピンと来ず、
加瀬は怒るというよりは呆れて、ふんと、大きく鼻息を鳴らす。



「で、何?…話って?」





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