2017年11月02日

西崎、最低・3







最初に挿れられた玩具は細く可愛らしいビギナー向けのもので
イツキの、下の口は、まるで吸い込むように簡単に、それを飲み込んでしまう。
当然、そんなもので得られる感覚は大したものでは無かったけれど
小刻みに揺らし、回し、同時に…イツキ自身のものをベロりと舐められ、愛撫されると…堪らない。

それでもイツキは自分の股間に張り付く西崎の頭を叩いたり、髪の毛を引っ張ったり、精一杯の抵抗をする。


「……や、……やだ、……西崎さん、………や…」
「いい加減、大人しくしろよ。なあ、イツキ。……社長に捨てられたんならよ、俺が面倒、見てやるぜ?」
「……や、……だ……」
「お前なんざ、何の後ろ盾もなかったら、ヤられ放題だぜ?」



イツキのモノに舌を這わせながら、視線だけを寄越し、イツキの反応を見ながら、中の玩具を搔き回す。
抜ける寸前まで引き、入り口付近でくちゃくちゃとやり、また、つるんと中に押し込めると

イツキは目をきゅっと閉じ、いやいやと、小さく首を横に振る。





「…もっと欲しくなったか?……どうせお前は……」





西崎は身体を起こし、イツキの顔を覗き込み、そう言って、イツキの頬と耳の穴を舐める。
咄嗟に、イツキは西崎の方を向き、キツ睨んで、……唾を吐く。



怒らせれば、その後の行為が辛くなるばかりだとは、解っていても。
イツキにはそうする事しか、出来なかった。





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2017年11月04日

西崎、最低・4







今の、イツキと黒川の状況が、西崎にどう伝わっているのかは知らないが…
ともかく、黒川と距離を置いていると。恋人同士にも似た親密な関係は、解消されそうだと…そう、思われているようだ。


そうなったら、どうするのか。


イツキが、黒川の干渉を受けないのであれば、自分が囲ってしまっても良い。
自分専用にしても良いし、売りに出しても、良いだろう。
そしておそらく、そう考えるのは、西崎に限った事ではないのだろう。

黒川の庇護がなければ、自分がこの世界でどのように扱われるか、イツキは…
うっかり、忘れかけていた。






大人の男の手が容赦なく、イツキの頬を往復する。
耳の上らへんに当たったのか脳が揺れ、意識すら、飛びそうになる。
抵抗する力が抜けた瞬間に、西崎はまた体勢を変え、イツキの足元に回り、両脚を持って抱える。

結局、どう足掻いたところで、犯されてしまうのだと、
イツキは唇を噛み、目をぎゅっと閉じる。そうやって半ば諦めた時、……ふいに、西崎の動きが止まった。







「…いや、あの、……これは…」

「………どいつもこいつも。……発情期のサルかよ」





狼狽して言い訳をする西崎と、男の声。

イツキが薄く目を開けそちらを見ると、寝室のドアの前に、黒川が立っていた。






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西崎・最終話








西崎は慌ててベッドから跳ね起き、乱れた衣服を整える。
黒川は一度寝室を覗いたものの、呆れたような大きなため息をついて、またリビングに戻る。
ソファに座り、持って来ていた缶ビールを開け、煽る。
煙草に火を付けたあたりで、西崎がおずおずと寝室から出て来る。

イツキは、毛布に包まったままベッドの上に座り、成り行きを伺う。




「…まあ、その。…あいつ、ちょっと思いあがっているようなんで…。教育と言うか…、立場を解らせてやろうかなと……」
「池袋はどうした?…連絡が来ていただろう、30人ほど揃えろと。……お前、イツキに構っているほど、お手隙か?」
「いやっ、もう準備は殆ど…、帰ったらすぐに……」
「それなら、行け」




仕事の進展を責められ、西崎は頭を下げ、その場から立ち去ろうとする。
その、最後の最後に、黒川は、一番大切な事を言う。






「…あとな、西崎、勘違いをするなよ。…イツキは俺の女だ。揉めても、別れてもいない。
もしそうだとしても、お前には関係がない。
勝手に、イツキに、手を出すな。

昔とは、違う」






静かな、それでも怒りを秘めた口調に、西崎はとにかく頭を下げ、謝罪し
逃げる様に、部屋を出て行くのだった。









さて、この後、どうしましょ〜w
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2017年11月05日

静かな部屋で・1







西崎が逃げ帰る様に出て行き、部屋には、黒川とイツキの二人きり。
奇妙な静けさが、漂う。




イツキは
どこか上の空というか、呆然と言うか、狐に化かされたような、そんな様子で
とりあえず寝室を出て、風呂場に向かう。
シャワーを浴び、西崎に悪戯された痕跡を流し、新しいシャツに着替る。

リビングに戻ると、さっきと変わらず黒川がソファに座っていたので
イツキも冷蔵庫からビールを一本取って、黒川の、足元の…少し離れた場所に、座る。




「……マサヤ…」
「ここの鍵、西崎はまだ、持っているのか…、……まったく」
「…あ、…うん。……そうみたい……」
「鍵を変えるか、いっそ、ここを引き払うか?……向こうに住んだっていい。…学校だって、通えない距離じゃないだろう?」



意外な言葉を聞いた気がして、イツキは顔を上げ、黒川を見るが
黒川は表情を変えずに、二本目のビールを飲む。

今日はなんだか、変な気がする。



「……仕事は?……忙しい?」
「ああ」
「…池袋って?」
「ああ。叔父貴の手伝いがな…、まあ、もう、片付くだろうよ」



一言、一言の後に、沈黙が流れる。
次は何を話せば良いのか困って、ビールを飲む。

こくん、と、飲み込む音さえ、部屋に響く。






「……俺の女、って、……言った」

ようやく、イツキが、尋ねた。


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2017年11月06日

静かな部屋で・2







「……俺の女、…って…」
「そうだな。…そうだろう?」


黒川の深意を探る様に、イツキは黒川を伺うのだが
やはり黒川はイツキを見ず、顔色も変えず、別に何も、おかしな事は無いと言った風。


「揉めても、別れてもいない、…って」
「…若干、揉めたか。…はは。……他愛もない」


あの、小野寺絡みの一件や、梶原への暴行。堰を切って溢れた激情を若干で済まされてはかなわないと、イツキは唇を尖らせ、黒川を睨む。

……それとも、本当に、そんな程度のものだったのだろうかと……
イツキ自身、解らなくなる。


「………そんな位?」
「ああ」
「俺、結構、大変なんだけど。…俺って、何なんだろう…とか、これからどうやって生きていこう…とか…。色々、考えてる」
「…そうか。ご苦労さん」



黒川は軽くあしらい、吸いかけの煙草をもう一服やって、灰皿に押し付ける。
この男は、自分と真面目に話をする気は無いのかと、イツキは呆れ、ふんと鼻息を鳴らす。



「……昔とは、違う…は、どういう意味?」
「最初から最後まで、よく覚えているな。……くだらん。……言葉の綾だ」



黒川はソファから腰を上げ、もう寝るぞ、と寝室に向かう。


それでも、顔も見せずにつぶやいた一言は、黒川の本当の気持ちなのだろう。






「……西崎がお前を好きに扱っているのを見たら、無性に腹が立った。
……勝手なものだな、いつも、俺が、そう仕向けているのに。

昔と違うのは、俺か…


こんなにお前が愛しくなるとは、思わなかったな」






posted by 白黒ぼたん at 23:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月07日

静かな部屋で・3








黒川が寝室に入ってから、しばらくの間。多分、ほんの数分だけれど、それは眩暈がするほど長く。
イツキは床にぺたりと座ったまま微動だに出来なかったのだが、やっと、スイッチが入ったように立ち上がる。

寝室へ向かい、伺うと、黒川はすでにベッドの中で。
眠っているのか、嘘なのか、イツキは扉の端に寄りかかり様子を伺う。




「……マサヤ。…寝ちゃった?」
「…ああ」
「何、さっきの…」



黒川は横向きで、こちらに背を向けている。
イツキは傍に寄り、ベッドの縁に腰掛け、狸寝入りの男を見下ろす。



「……マサヤって、……時々、そんな事、……言うよね。……本当のこと?」
「…さあな。…口が滑った」
「滑っただけで、…思ってる事は、本当?」
「………」



結局、肝心なところは口を噤んだまま。欲しい答えはなかなか得られない。
家出をしたり、死にそうな目に遭うと、ごく稀に覗く黒川の本心は、蜃気楼か逃げ水のようで、すぐにイツキの前から姿を消す。


それを追うのにも、もう疲れた。







「………まあ、どっちでもいいや。……どうせ、する事は変わらないんでしょ…」



半ば投げやりにイツキはそう言う。


言い終わらない内に、背中を向けていた黒川がくるりと向きを変え、イツキを捕らえた。





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2017年11月08日

静かな部屋で・4








向き直った黒川はイツキに腕を伸ばし、そのまま、引き寄せる。
イツキは転がる様にベッドに倒れ、黒川と、向かい合わせになる。

吐息が掛かるほどの距離。

けれどまだ、キスはしない。





「……馬鹿か、お前は。一から十まで、全部言わなければ解らないのか」
「どうせ、馬鹿だよ。解らないよ」


間近で、黒川は、イツキの顔に手をやる。
親指で拗ねた唇をなぞり、目の下の、赤い擦り傷をなぞる。
……西崎に叩かれた時についたものだろうか。





「…イツキ。……お前が思っているほど、俺は、お前を適当に扱っているつもりはないぜ?」
「……それでも、俺を、他の男に抱かせるでしょ?」



今度は、黒川は手を、イツキの髪にやる。
いいこ、いいこでもするように頭の後ろを何度か撫ぜ、そして、ぐっと、自分の胸元に抱き寄せる。




「ああ。それごと全部、俺のものだからな…」
「勝手すぎ。意味わかんない……」

「全部だ。…頭のてっぺんから、つま先まで。小指の爪の先まで、俺のものだ。
他の男に抱かれていようが、他の男の事を考えていようが構わない。全部、俺のものだ…」







posted by 白黒ぼたん at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月09日

静かな部屋で・5







切れ切れの会話のどの箇所から、事が始まったのか。
気が付いた時には絡まって、もう、解けなくなってしまっていた。

イツキの胸の突起に触れる黒川の手はいつもより優しい。
それがまた、もどかしくて
思わず、腰を反らせてしまい、慌てて引っ込め、脚をもじもじと揺すってみる。




「……マサヤは、……勝手すぎ。……俺だって、嫌なときは、嫌…なんだから……」
「……そうだな」
「…たまには、俺の意見も…、……聞くべきだよ…」
「だから、今、聞いているだろう? ………小野寺との仕事は、………悪かったな。……奴は…、抑えきれなくてな…、色々と、面倒で……」



黒川は手に潤滑剤をたっぷりと乗せ、イツキの入り口を、解す。
先刻、西崎に弄られていた穴は、痛みも無く簡単に、黒川の指を受け入れる。
…同時に、中心のものをぺろりと舐められては、…イツキも、まともに話す事が出来なくなる。


それでも、まだ黒川を許す気にはなれない。
いつもいつもこうやって流されてしまって、結局、何も変えれずに、同じ痛みを繰り返してしまうのだ。




「……俺が、マサヤのもの、とか…、そんなの、……ない……」
「悪かった。……お前が言う事を聞いてくれるのに、…甘えていたな」
「…ズルイ、マサヤ。……今、そんなコト言われたら、俺…、また…、騙される……」



舌と指先で執拗に愛撫され、イツキはどうしようもなく、昂っていく。
黒川の言葉が全て真実で、誠意のこもったものだとは、到底思えないが…



「いい加減、俺を許せよ。………これでも、一応、……愛しているんだからな」



例え嘘でも、そんな言葉を吐かれてしまっては、もう、何の強情も張ってはいられなかった。








posted by 白黒ぼたん at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月10日

静かな部屋で・6







唇を重ねながら、互いの身体を擦り付ける。
どれだけ、自分が相手を求めているか、相手に伝える。
唾液交じりの吐息も、熱い指先も、媚薬のようにあちこちを痺れさせる。
もう、頃合と、黒川はイツキを裏返し、尻の膨らみの間に自身の塊を押し当てる。



「……あ。……だめ…」
「…ん?」
「うしろからじゃ、…かお、見えないじゃん……」



そう、叱られて、黒川はまたイツキの身体をくるりと返す。
イツキの両足を抱え、腰を近づけ、顔を見合わせると、イツキは綺麗に微笑む。



「…いいよ。……また、しばらく、騙されるよ。……その代わり…」
「その代わり?」
「……ちゃんと、……して。………俺が、迷わないくらい……」



そう言ってイツキは手を伸ばし、黒川の頬に、そっと触れる。


黒川は思わずもう一度、あの言葉を、呟いてしまった。









朝、目が覚めたものの、精も根も尽き果てたといった風で、二人とも身体を動かすことも出来ず
昼過ぎになってようやく起き出し、シャワーを浴びる。

派手に、腹の虫が鳴き、外に食事に出かける。
そんな二人の日常も、考えてみれば、久しぶりの事だった。







次で一段落っす。
posted by 白黒ぼたん at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月12日

静かな部屋で・最終話







「全部が全部、納得した訳じゃないからね。小野寺さんとは、もうヤだし。
梶原のことも、…今回は学校、大丈夫だったから…まだ良かったけど、でも
手、出すなんて…、暴力なんて、最低…」

「…あれは、貰い事故だろう。あんな場面で顔を出す奴が悪い」





昼下がりの定食屋で、二人向かい合って、食事を取る。
距離を置いていた二か月弱の時間を埋めるように、別れて暮らして来た間の出来事を報告する。


「……だいたいお前が、変なキレ方をするから…、話がややこしくなったんだ。……言いたい事があるなら、ちゃんと言え…」
「はぁ?…言ったよ、言ってたよ?……聞いてくれなかったのはマサヤじゃんか!」


夕べの甘い蜜月が嘘のように、黒川はいつもの憎まれ口を叩く。
イツキもつい、声を荒げるのだが…、一呼吸置いて、口を噤み、ふんと大きな鼻息を鳴らす。






黒川と、同じ土俵で話をしても、埒があかないことはもう解った。
一歩下がり、跪きひれ伏し従うか、……もしくはその反対しか無いのだろう。



「…なんだよ」
「べつに。まあ、いいや…」


そう言ってイツキは視線を流し、そのくせ、小さく笑ってみせる。
それを見て黒川もまた、ふんと、鼻息を鳴らす。





全ての答えは、そう簡単に出るものではない。
今回は、これくらいにしておこうと、お互い、思っていた。







おしまい
posted by 白黒ぼたん at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

◎ご案内◎三度





いつもご閲覧ありがとうございます。
◎スイッチ◎管理人、ぼたんです。

当ブログはただただ、管理人の趣味と欲求の捌け口として書き散らしているものですので、あまり深く詮索はされません様。
性的表現を過分に含んでおりますので、閲覧は自己責任にてお願いいたします。

ブログ開設は2008年5月。
記事数も増え、散らかって参りましたが
これ以上どうする事もできませんので(キッパリ)
とりあえず、大まかな印をつけておきます。

ですが、再三申し上げている通り
ウチのお話は行き当たりバッタリで書いていますので、昔の話は色々、変です。
その辺りをご了承の上、お楽しみ頂けると幸いです。




現在のシリーズ。お話の初めは→「ゆるやかな牢獄」

木崎君、初登場→「解り易い敵意」

小野寺の出番は→「ダメージ」

プチ家出編→「迷い猫イツキ」

新学期編→「新生活」

清水との恋の行方は?→「麻痺」

またまた迷子→「迷い子」

修学旅行の頃→「降って湧いた話」

3年生になりました→「新学期の朝」

番外編→「ちょっとした話」

小野寺、からの大喧嘩編→「時間貸し」





また…裏技といたしまして…
下記のURLの「201109」の部分…西暦と月になっております。
ここを変えて入れると、その月に飛びます。

http://cho-tanpen.sblo.jp/archives/201109-1.html

ハイフンの後の数字は、その月の最後が「1」のようです。多分…。





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posted by 白黒ぼたん at 11:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月14日

報告








「とりあえず…、良かったですね、と、言うべきでしょうか」
「………んー、まあ、そうなのかな…」



夕暮れ時の事務所で。
イツキは一ノ宮とコーヒーを飲みながら世間話。
黒川とここで落ち合って、一緒に出掛ける約束になっていて、
その前に、ひとしきり、一ノ宮に事の推移を報告する。



「結局、これからどうするとか…、まだ、ちゃんと話した訳じゃないけど…。まあ、マサヤも…、そんなに…、俺のこと酷く扱うつもりも無いみたいだし…
様子見ながら…、……傍にいても、いいかなって……」



イツキはソファに座り、熱いマグカップを両手で持ちながら、そう話す。
黒川との甘いひとときの全てを話すことは出来なかったが、そこは一ノ宮も概ね察したのだと思う。


険悪になったこの二人が仲直りするには、黒川が多少、折れ、素直になる以外に無いのだ。



「…社長も、…イツキくんが大切だという事は重々解ってはいると思いますよ。
ただ、まあ、その。……若干、面倒臭い男ですからね…」
「ね。本当にね…」




そう言って二人で顔を見合わせ、クスクス笑っている最中に、黒川が事務所に戻って来る。

イツキと一ノ宮はその黒川の顔を見て、また、クスクスと笑い、

笑われた黒川は何の事だか解らずに、ムッと、不機嫌そうになるのだった。






なに、この、ほっこり感
posted by 白黒ぼたん at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月15日

やきもちの自覚







事務所で待ち合わせて、二人の部屋へ。
途中、コンビニに寄り、食料品などを買う。
本当はもっと大きな店で、肉や野菜なども買いたかったのだけれど
ヤクザもどきと男子高校生がカートを押して、スーパーマーケットでお買い物は、少々、荷が重い。



「…サラダ、サラダ…。ああ、ドレッシング、買い忘れちゃった。マサヤ、マヨネーズでいい?」
「…………ああ」



袋入りのカットサラダをボウルに開け、ハムを乗せ、隣にフライドチキンを置き、ボトルワインのコルクを抜く。
辛うじて黒川はリビングのボードからワイングラスを出し、後は、ソファに座り煙草に火を付ける。



「…冷蔵庫に入ってたチーズって、まだ大丈夫だと思う?」
「いいんじゃないのか、どうせ青カビだろう」
「…適当だなぁ…。お腹壊したら、マサヤのせいだからね」



久しぶりの二人の時間は、特に変わった様子もなく。
離れていた時間が嘘のように、穏やかに過ぎて行く。
取って来たチーズに鼻を近づけ、匂いを嗅ぐイツキを、黒川は横目で眺める。





ここで、『…三人目は誰だ』と尋ねたら、まるで自分がその事を気にし過ぎているようだと、黒川は思う。
気にならないと言えば嘘になるが、あえて今、この穏やかな空気の中で聞く事でもないだろう。



「……何、マサヤ。…笑ってる?」
「いや、なんでもない」



そんなタイミングを推し量っている自分自身が滑稽で、黒川は小さく笑った。













posted by 白黒ぼたん at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月17日

やっぱり最低








「社長とヨリ、戻したんだろう?良かったじゃねぇか。はは、半分は俺のお陰みたいなもんだろう?」



数日後。事務所でバッタリ会った西崎は、いけしゃあしゃあとそんな事を言う。
イツキは返事もせず、西崎を睨み、煙草を買いに行った黒川が早く戻って来てくれないかと、思う。



「まあ、悪かったな。俺も結構、飲んでてよ。…つい、な」
「……勝手に、部屋に入ってるなんて…、無いです…」
「だから、悪かったって。…社長にも怒られたしよ、もう、しねぇよ」




西崎は呑気に笑い、イツキは憤慨する。
合鍵を使い部屋に入り、寝室で待ち伏せ、無理やり乱暴した事が、たったそれだけの謝罪で済まされる訳がない。

イツキはずっと不機嫌顔で、唇を尖らせ、鼻息を鳴らす。



「そう怒るなって。ヤルのなんざ、お前にしたら、別に大したコトじゃねぇだろう。
……カケルとは良くて、俺は駄目だなんて、つれねぇ事、言うなよ、なあ」
「……駄目に決まってます。……だいたい、西崎さんはいつも勝手に……」

「……ん?……カケルと、ヤってんのか?」



簡単な引っ掛けに簡単に乗ってしまった事に、イツキは、西崎のしたり顔を見て気が付く。



「……マジかよ、お前。……まったく、ユルイにも程があるな…。
……まあ、社長には黙っててやるから、今回の事は、これでチャラにしろよな」



そう言って西崎はまた声を上げて笑い、イツキの尻を二、三度叩き、先に事務所を出て行くのだった。





posted by 白黒ぼたん at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年11月18日

タイミング・1








日曜日の午前中。
イツキが部屋で片付けものをしていると、清水から電話が入る。
週末の約束は、昨日、メールで断った。
けれど、はいそうですかと引き下がるほど、清水も簡単ではなかった。



「……ごめんなさい。……俺、…駄目です」
『そう言うなよ。…メシだけでも行こうぜ、昼メシ。……うまい、ラーメン屋があってさ…』
「………」



イツキはケータイを握りしめたまま、戸惑う。
清水に心が揺れたほんの数日前から、気持ちはまるで変ってしまった。
そのことに、自分自身、まだ馴染めない。

しかも、今更だけれど、清水は西崎の息子なのだ。
どこでどう、話が漏れ、どう繋がるか、正直怖いところもある。



「……ごめんなさい」
『…実はさ、もう、お前んちの前なんだよね。……な、ちょっとだけ…』
「……せんぱい…」



食い下がる清水。
…イツキ自身、いい顔をして約束を交わしてしまった事に、負い目もある。
せめて、直接会って、謝ってもいいのかもと、片づけの手を止める。




部屋着のままコートを羽織り、家の鍵だけを持って、清水がいるというマンションの下までおりてゆく。






タイミング…。
ぼたんは、ポケビ派でしたw
posted by 白黒ぼたん at 21:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
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