2018年05月23日

ベタ惚れ








腕を、引き抜いた直後のぽっかりと開いたそこに、自身を埋めると
まるでその形を覚えていたように、ぴたりと吸い付き、さらに奥へと飲み込もうとする。

そうなるように、仕込んだのだ。
丁度良い具合なのは、当たり前だった。







感じた時の息の止め方も、吐き方も。
目を閉じ、薄く開き、ちらりと見上げては、視線を外す、その仕草も。
次を強請り、卑猥に腰を揺すって来る様子も、しがみつくように、細い腕を絡めてくる加減も。

気に入っている。

他の奴にくれてやる気は、毛頭、無い。











「…池袋とのイザコザが落ち着くまで、しばらくは一人で出歩くな。…その内、話を付けに行く」
「しばらくって、どれくらい?……学校も、駄目?」
「拉致られて、レイプされて、イタズラされたくないなら、大人しくしていろ」
「………えー……」


終わって、ベッドの中でそう話すと、イツキはむくれた様に頬を膨らませ、唇を尖らせる。

何度酷い目に遭わされても、懲りないところが、馬鹿だ。


「マサヤがずっと傍にいてくれればいいんじゃん。送り迎えとかも、してよ」
「……は。俺がそんなに暇に見えるか?」
「でも、呼んだら、来てくれるんでしょ?………ね?」



イツキはそう言って、ニコリと笑った。






posted by 白黒ぼたん at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年05月25日

薄情者








学校にて。
その日の少ない予定を済ませ、帰り支度の為にイツキはバタバタと走り回っていた。
昇降口まで下りたものの、忘れ物を思い出し、教室まで戻り、また昇降口へ向かう。

急いでいるのには、理由があった。







「………イツキっ」


昇降口で呼び止められる。
振り返るとそこには、梶原の姿があった。
出席日数の為だけに学校に来ているイツキと違い、梶原は忙しそうだった。
学校に来ても図書室に籠るか、職員室に顔だけ出し、何やら報告だけ済ませて帰ってしまうことが多かった。

たまには、ゆっくり話がしたい。そう思う気持ちに、嘘はない。
それでもイツキのポケットのケータイが着信を告げ、イツキを急かすように震え始める。



「梶原、元気?……じゃ」
「俺、受かったんだ!」
「……そう?……また今度ね」



慌ただしく挨拶をして、手を振って、イツキは外へと出て行く。


学校の校門の外には、一台の黒い車が停まっていて、中では黒川が不機嫌そうに、ケータイを鳴らし続けていた。


イツキは助手席に乗り、黒川に約束の時間より遅れてしまった事を詫び
…ちゃんと、迎えに来てくれたことに、ありがとうと、礼を言う。





そして、一息つき、しばらくしてから
梶原が大切な、重大なことを言っていたと、気が付くのだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年05月28日

半分








黒川はベッドの上で半分、仕事をしていた。
ガウンを羽織り、バーボンのロックを傾けながら、広げた書類に目を通し、傍らのイツキの髪の毛を弄る。

指先にくるくると髪を巻き付けると、引っ張られたのか、イツキは少し嫌そうな顔をする。
眠っているのか、起きているのか、それも丁度、半分。

黒川のケータイが鳴る。相手は西崎。


「………ああ、契約書な。今、見ていた。……問題ないだろう。…渡辺のジジイはどうした?…蕎麦屋の、……ああ、来月、立ち退きな…、……ああ」


仕事の話をいくつかする。
電話の声がうるさかったのかイツキは少し眉をしかめる。
黒川がイツキの毛布を肩まで引き上げると、イツキは黒川に擦り寄る様に、身体を丸める。





夕方、部屋に戻ってから、数時間。
黒川の指やカタマリや、あるいは卑猥な玩具で、ずっとイかされ続けていた。
快楽に飲まれ、イツキはすべてを、黒川の前にさらけ出す。
艶声を上げながら汁を垂れ流す姿が、良くて、つい苛め過ぎてしまうのは、いつもの事。

終わって、こと切れたように、イツキはベッドに深く沈んだ。







「……それでいい。また、連絡する。……ああ、あと明日な、佐野をこっちに寄越してくれ。……ああ、じゃあな」



西崎との通話を終え、黒川はケータイを投げ、替わりにバーボンのグラスを取る。
口につけ、何気にイツキに目をやると、イツキは何度か瞬きをし、薄目を開け、



黒川をチラリと見上げ、また、目を閉じた。







posted by 白黒ぼたん at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年05月30日

ファミレスにて







「すごいねー、梶原。本当、良かったねー」
「……お前、マジ、思ってんのかよ?」
「思ってるよ。ちゃんと第一志望のトコでしょ?すごいよ、おめでとう!」
「…ああ。…まあな、…へへ」



放課後。
どうにか梶原を捕まえて、イツキは駅前のファミレスへと向かう。
昨日、梶原の報告をあまりに素っ気なく聞き流してしまった事を、多少は反省していたのだ。

梶原が人一倍、目標に向かい努力してきたことは、イツキも知っている。
自分と関わったために、時間も気も取られ、迷惑を掛けてしまった事も解っている。
そんな中でもきちんと結果を出したのだ。本当に、立派だと思う。

自分には無い、強さを持つ梶原を、イツキは本当に尊敬していた。



「何か、ちゃんと、お祝いする?……何がいい?」
「え?……へへ、……そうだなぁ…」

嬉しくないはずもない。梶原は照れ笑いを浮かべ、同じく笑みを浮かべるイツキの顔を見る。
ニコニコと笑うイツキが可愛くて、「お祝い」は何が良いかと、思いを巡らせる。





巡らせながら、ハタと、その横に視線を向ける。





「……つか、さ。……なんで、この人、一緒にいるの?」
「えっ……、ええっと。……今、イロイロあって…」




イツキの隣には運転手兼、お目付け役の佐野がいて、
ノンアルコールのビールを飲みながら、つまらなそうに、イツキと梶原の会話を聞いていた。






posted by 白黒ぼたん at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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