2018年12月25日

一波乱・5








「……仕事だったぜ?……終わって、渡辺の社長とタケルの店で飲んで……
店を出た所で騒ぎになって、…警察だ、救急車だ呼ばれても厄介だろうし…
タケルにタクシーで送って貰っただけだ……」

「………お店の、ママさん?……マサヤのこと、すごく心配してた。…親しいんだ?」
「なんだ?……妬いているのか?」



ベッドに入り、冷えた身体も温まり、ようやく、軽口も叩けるようになる。
イツキは何か言いたげにチラリと黒川を見上げるも、むくれたように口を結び、黒川の肩口に身を寄せるように丸くなる。

……ヤキモチなどでは無いのだけれど、……黒川の仕事が危険を伴うことなど承知の上なのだけど、……どこでどんな目に遭おうが、いちいち、気にしてはいられないけれど……


それでも、落ち着かず、腹の底がもぞもぞする。




「………俺、………もう、寝る……」
「……やらないのか?」
「しないよ。……明日、卒業式だもん……」


明日、と言っても、すでに夜は明け始めていた。
イツキは少しでも眠っておきたいと、目を閉じ、深く息をつく。
黒川は、イツキの身体を抱き寄せる。





「………心配させたな…」





耳元で、黒川がそう言う。
イツキは「………してないよ」と、言おうと思ったのだけど
もう、眠たくて、……返事をするのも面倒臭くて、……ひとつ、こくんと、頷くだけだった。






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2018年12月27日

一波乱・6







夢だったのかも知れない。


気が付くと、イツキは黒川の上に跨り、腰を揺すっていた。



どちらから誘ったのかは、解らないが
いつもとは違う二人。うつらうつらとしていても、まだどこか、気が張っていた様子。
身体を寄せ合い、宥める様にキスを繰り返せば…

……そうなってしまうのも、仕方ないだろう。




一応、怪我人を気遣ったのか、イツキの方が欲しがったのか、
簡単に自分の用意をすると、……黒川のモノを指で支え、腰を沈める。
キツイ通り道に構わず、根元まで咥え込む。
イツキは眉間に皺を寄せ、「…く」と唸る。それでも、その熱さが良いらしい。


「……馬鹿が。……早い…」
「………だって……」


黒川はイツキを見上げる。
イツキは黒川の胸に手をやり、何故か、ぽろぽろと涙を零している。
痛み、だけでは無いようだ。口を結び、何かを払うように、頭を左右に振る。



「………馬鹿が…」






黒川は手を伸ばし、イツキの髪の毛を引く。
つられてイツキの頭が下がる。そのまま顔を寄せ、唇を合わせた。




一度身体を離し、今度は十分に濡らし、滑らせ、再び挿入する。

黒川の傷口からは血が滲み出していたが、そんな事に気を留める余裕は無かった。





posted by 白黒ぼたん at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年12月28日

一波乱・最終話








『……イツキ?……どうした?……今日、休むのか?
卒業式、もう、始まるぞ?』



イツキは梶原からの電話で飛び起きる。
時計はすでに9時を回っていた。
アラームは…、何度か鳴ったような気がするが…、何の役にも立たなかったようだ。
…もっとも昨夜のあの状態で、朝きちんと起きろ、など、無理な話。




「…………どうした…?」


黒川が半分目覚め、声を掛ける。
イツキは大慌てで、クロゼットの扉に掛けてあった制服に、袖を通している所だった。


「…俺、学校…」
「…………は?」
「マサヤ、ちゃんと病院行きなよ?……じゃあねっ」


着替えたイツキはそう言って、髪の毛も梳かさず、バタバタと部屋を出て行った。
玄関の閉まる音を聞いてようやく黒川は、今日がイツキの卒業式だった事を思い出した。






マンションの前からすぐにタクシーを捕まえて、イツキは、最速で学校に到着する。
卒業式が始まる直前。
講堂の前で、入場する生徒たちが列を作って待機しているところに、イツキは合流する。
その姿を見付け、梶原が駆け寄る。



「イツキ!寝坊か!?……お前、遅刻にも程が……」



言いかけて、言葉を無くす。

それもその筈。イツキの頬には、血が、べったりと付いていたのだ。









おわり
posted by 白黒ぼたん at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

小話「雪」








真夜中。
一通り睦事も終わり、イツキは水を飲みにキッチンへ向かう。
流しでコップに水を汲み、一口飲み、顔を上げると
向かいの窓が、チラチラと光る。

雪が降っていた。



「………どうりで。………寒いと思った…」



イツキはリビングの窓際に立ち、音もなく降る雪を眺める。
すでに暖房は切っており、足元から冷えが上る。
肩に掛けた毛布を胸もとできゅっと合わせ、イツキはカタカタ震えながら、しばらくその景色を見ていた。





寝室に戻ると、水を飲むにしては長すぎる中座に、黒川がいぶかし気な視線を向ける。
イツキが、「雪が降ってるよ」と言うと、黒川は、なんだ、そんなつまらない事かという風に、ふんと鼻を鳴らす。



イツキは、ふふ、と微笑んで





すっかり冷え切った手を、黒川の頬に、押し付けるのだった。



















黒川「……ひぃぃっ」笑



年内最後の更新です。
みなさま、この一年、いっちゃんと黒川を見守って下さって
ありがとうございます。

来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

posted by 白黒ぼたん at 21:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
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