2021年11月02日

ホテル紫苑・4









バスローブを羽織り、頭からバスタオルを被り、ソファに座るレノンは
佐野が入れた熱いコーヒーを飲んで、ようやく落ち着いたようだった。
イツキと佐野はその近くに立ち、同じコーヒーを啜る。


「…レノンくん、他に怪我は?…どっか、血が出て無かった?」
「血が出たのはクソジジイの方。あんまりしつこいんで、止めろって手ぇ上げたら
ジジイの鼻に当たってさ。…鼻血、出してたよ」


レノンはザマアミロと言ったふうに、ふふんと鼻で笑う。
イツキは佐野と目を合わせ、やれやれという顔をする。


「……まあ、…嫌だろうけど。…こうなってる以上、上手く立ち回らないとね。
結局、自分が痛い思いをするから…」
「我慢しろって言うのかよ。十分、してるよ!これ以上どうしろって言うのさ」


悪態をつくレノン。
痛みが解る分だけ、イツキも、どう宥めようかと悩む。


「…良い感じのフリ、だけでも。それで向こうが満足するなら、それで…」
「フリも何も解らないよ。あんたみたいにケツでアンアン気持ち良くなる変態じゃねぇし」



相変わらずの口調。
まあそれだけ元気なら心配はいらないな、と少し安堵する。



「あんたはいいよね。シュミと実益を兼ねるってヤツなの?」
「…気持ち良くなれた方が楽って訳でもないけどね。どのみち、される事に変わりは無いんだから。
とにかく、身体は…大事にしないと。……佐野っち」



バチバチの新旧売り子対決だなと、半分、面白がっていた佐野は
急に話を振られて、ドキリとする。



「はっ、何っ? 俺?」
「そうだよ。もっとちゃんとケアしてあげなきゃ駄目だよ。それが今の佐野っちの仕事でしょ?」
「…お、おう」








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2021年11月05日

ホテル紫苑・5








「……レノンくんはまだ…慣れてない事も多いだろうから…
身体のケアとか…佐野っちが気にしてあげて?
俺の時だって…汚かったり酷かったり散々だったけど
佐野っち、見てくれたじゃん」

「……そりゃぁ…、お前はその後、ヤラせてくれたからさ……」



佐野の小声にイツキが「…え?」と顔を向けると
佐野は慌てて頭を横に振り、「はいはいはい」と解ったような返事をした。

確かに
イツキの時の佐野の、アフターケアは万全だった。
身体の隅々、奥の奥まで丁寧に洗い、……ついでに、ソコを使わせて貰ったりしていた。
レノン相手に今の所それは無さそうだが
だからと言って放ったらかしで良い訳も無い。

何せ大事な商売道具だ。






「……よしっ、…帰るか。ほらレノン、服、着ろ。風邪ひくぞ。
みんなでラーメン喰いに行くか。なっ」

間が空き、罰の悪さも手伝い、佐野はわざと明るく声を上げる。
散らばっていたレノンの服を集め、手渡し、頭の上のバスタオルでゴシゴシと髪を拭く。

レノンは鬱陶しそうに佐野の手を払い、イツキの顔を一瞬見上げ、小さく鼻を鳴らす。
佐野もイツキも。未だ気に入らない事に変わりは無いが、敵では無いことは…まあ、解る。



「……俺、トイレ行ってから…着替えるから。先、行ってて…」
「おお。裏の駐車場に車、停めてあるからよ。クソもセーエキもローターも、全部ひり出して来いよ」



佐野は、面倒見の良い兄貴になったつもりで、そんな事を言うのだが
レノンも、当然イツキも、苦虫を潰したような嫌そうな目で、佐野を見ていた。







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2021年11月06日

ホテル紫苑・6









「…佐野っち、俺、帰るよ?」
「ええ?何でだよ。一緒に行こうぜラーメン屋」


イツキは佐野と一緒にエレベーターで階下に降りる。
薄暗い壁の照明に浮かぶ、赤い別珍の絨毯。
昔、通い慣れたフロント。観葉植物に隠れたソファ。

あまり、良い思い出のない場所。


「…帰り、遅くなっちゃうし。明日も仕事だし…」
「旨い豚骨背脂の店、見つけたんだぜ?」
「…豚骨…背脂…ギトギトじゃん…」


渋るイツキを説き伏せながら裏口を抜け、駐車場に向かう。


「…レノンと2人きりもなぁ……あっ、やべぇ、忘れた!」




車の前まで来た時に、突然、佐野が叫んだ。
ホテルのオーナーに業務連絡があったことを忘れていたと言うのだ。
「ちょっと行ってくる。すぐ戻る。イツキ、帰るなよな!」
佐野はそう言って、バタバタと慌ててホテルの中に戻って行く。

イツキは、ええ…と少し困った顔で立ちすくみ、それからふうと大きくため息をついた。









暫くして、佐野が駐車場に戻って来ると
車の前にイツキはおらず、レノン一人が立っていた。


「……イツキは?」
「いないよ。帰ったんじゃない」



そう、レノンにぶっきらぼうに告げられて
佐野はまるで恋人にでも振られたように、酷く気を落とした。






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2021年11月08日

豚骨背脂ラーメンと消えたイツキの謎









「……ほい、レノン。モヤシ増し。…胡椒、入れるか?」
「……ん」


佐野とレノンはラーメン屋に来ていた。
佐野が新しく見つけたこの店は豚骨背脂。増したモヤシは山盛りで、ドンブリから溢れ落ちそうだった。

二人きり、というのも、どうにも間が持たない。
車の中も、注文したラーメンが出て来る間も、とくに話すことは無かった。
やっと出てきたラーメンと餃子が、やっと、キッカケを作る。


「……レノン、ニンニク、入れるか?」
「…入れない。佐野さん、いつもこんな濃いの食べてるの?…おっさんのくせに」
「ハァ? うるせぇわ」
「…でも、美味しい……」


ずずっと音を立て、レノンは麺を啜る。
憎まれ口を叩いていても、やはり、子供。……仕事の後の温かい食事に、顔を緩める。
よくよく考えなくとも、レノンは、気の毒な子なのだ。
佐野も、いちいち情を掛けていては仕事にならないが、それでもまあ、少しは気に掛けてやってもいい。



イツキとは、違うのだと、解ってはいる。




「……それにしても、何でイツキの奴、先に帰っちゃったかなぁ…」
「…豚骨背脂は…好き嫌いがあるかもよ…。結構、胃に来る…」
「クソ。あっさり醤油にすれば良かったな」
「もしくはあんた、嫌われてるんだろ」




レノンは佐野をチラリと見上げ、少し、小馬鹿にしたように笑う。
佐野は少しムッとしたものの、構わず、自分のラーメンを啜る。

「仕事」の後、イツキとこうやって向かい合い、ラーメンを食べたのが遠い昔のように感じる。
そして、イツキが何も言わずに帰ってしまった理由を、ぼんやりと考えていた。







もちろん。

イツキはラーメンが嫌で、姿を消した訳ではない。







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2021年11月11日

佐野の不安









ラーメンを食べ終わり、佐野は車でレノンを送る。
レノンの自宅は少し離れていて、片道、小一時間ほど掛かる。

レノンは「仕事」の疲れと程よい満腹が手伝い、うつらうつら。
赤信号の合間に無防備な横顔を眺め、黙ってりゃ可愛いのにな、と佐野は思う。




それにしても。

イツキは、どうしただろうか。




『明日も仕事で、遅くなるのが嫌で、豚骨背脂は好みではないから、帰る』


確かに、そんな感じの事は言っていたが
それで本当に帰ってしまうものだろうか。
まあ、目の前で帰る素振りを見せれば、全力で引き留めるのだから
自分がいない隙に、さっと抜けてしまうのも、ある話かも知れないが。


直後と、ラーメン屋に入る前と

佐野はイツキに電話を掛けていたが、繋がらなかった。





ちりちりと微かな不安が、佐野の腹で燻る。

それは、脂っぽいラーメンを食べた腹の痛みなのだと

佐野は自分で自分を誤魔化していた。










『…コイツで間違い無いのか?』
『ああ。西崎のとこの金髪が連れてただろう。ガキの男娼なんて、そう何人もいるかよ』





イツキは
知らない場所で、朦朧とする意識の中、
知らない男たちの会話を聞いていた。






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2021年11月12日

少し前









ホテルの駐車場。
佐野が忘れた用事を片付けに、建物に戻ってしまった間
イツキは黒川に電話を掛けていた。

『レノン君は大丈夫。これから皆んなでラーメン食べてから帰るね』

そう伝えようかと思ったのだが
生憎その電話は繋がらず、イツキは、まあいいかとケータイをポケットに仕舞った。





自分の後ろの方で、車のドアが開く音がしたが
あえて、振り返らなかった。

こんな場所なのだし、普通は誰とも、顔を合わせたく無いと思うだろう。
イツキは俯き加減で、佐野が戻るのを待っていた。




直後に背後から抱きつかれ、口元を塞がれ、身体のバランスを崩す。
そのまま引き摺るように、他所の車に乗せられる。
ロクな抵抗も出来なかったのは、相手が二人組で、恐らくそう言った事に慣れていたため。
口元を塞がれたタオルには何か、意識が混濁するような、特異な薬剤が使われていた。

何より、

久しく、この手の乱暴を受けていなかったイツキは
すっかり油断していて、咄嗟の判断が出来なかった。









「…もっとガキかと…思ったが…」
「…こんなモンだろ?……可愛い顔してんじゃん。…暴れるようにも見えねぇけどな…」





男たちの声で、イツキはようやく目を覚ます。
車に乗せられ、どこかに連れ込まれたのだという事は
なんとなくだが、すぐに理解した。









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2021年11月14日

人さらい









腕は上半身ごと胸のあたりでぐるぐる巻き。
口には布を噛まされ、猿ぐつわ。
ベッドの上に放り出されていた。

清潔感はあるが、やや殺風景な部屋。
ホテルの一室という感じではない。
事務所の、仮眠室といった所か。



「…しっかし、親爺さんも物好きだよなぁ。若けりゃイイってモンでもねぇだろうに」



イツキを拐った2人の男は一仕事が終わったとばかり、缶ビールを片手に
下品に笑いながら、話しをしていた。



「ドラ猫を躾けるつもりが、噛みつかれちゃぁな…」
「ただのガキだろ?…それとも、親爺さんが下手糞過ぎたのかな」
「まあ、ともかく…、ちょっとオイタが過ぎたかね」



切れ切れの話から、どうやら…
男達の言う「親爺さんは」は、今日のレノンの相手だったようだ。
コトの最中に暴れ、噛み付き…ああ、振りかざした手が相手の鼻に当たり
出血していたと…確かにそんな事を言っていた。



「シツケ直してやんねぇとな…」



それを恨み、仕返しをする為に、レノンを拐えと指示を出したのだろうか。






「……人違いです…」


と、言おうとしたが、漏れるのは唸り声だけだった。

男達はそれに気付き、ベッドのイツキの傍に歩み寄る。





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2021年11月18日

人違い









「…ずい分と、問題児なんだって?キミ?
黒川興行のウリ子さんなんでしょ?。ちゃんと調教されてないの?
ただ、若いってだけのコ?

ウチの親爺さん、ちょっと、怒らせたみたいだねぇ…」




男の一人はビールを飲みながらニヤニヤと笑い、ベッドのイツキの傍に腰を下ろす。
物言いたげに、うう、と唸り、身を捩らせるイツキの、身体に手をやる。

服の上から身体をまさぐり、腰や股間を触る。
耳たぶや頸に顔を寄せてみるのは、今はまだ、ただの嫌がらせだった。




「止めとけ、止めとけ。喚くばっかりなんだろ、コイツ」


離れた所のもう一人が、そう言う。
『黒川興行の若い男娼は、酷くタチが悪い』と、噂が出回っているらしい。
それは、レノンの事なのだろうと、イツキは男に目で訴える。
首を横に振ってみるが、男には何も伝わらない。



「へへ。口、塞いでりゃ、悪態もつけないだろ。
何、ちょっと、からかうだけよ。サエキさんが来るまでの暇つぶしにな…」

「お前も物好きだなぁ。慣れてない男のケツなんて、俺は勘弁だけどなぁ」

「親爺さんも誰も、ヤリ方がマズイんじゃねぇの?
シャブ塗ってバイブ突っ込んでおけば、いくらなんでもユルくなるだろ?」






そう言って傍の男は

カチャカチャとイツキのズボンの

ベルトに、手を掛けていた。







posted by 白黒ぼたん at 00:28| Comment(327) | TrackBack(0) | 日記

素直な感想








大体の事情は解った。

レノンは仕事中に暴れ。
相手は一旦はホテルから立ち去ったものの、怒りは収まらず
報復でも考えたのか、手下に、レノンを連れて来るように指示。
手下はホテルの駐車場で待ち伏せていたところ…

送迎役の西崎組の金髪と一緒にいた、それらしい少年を見つけ

一人になった隙を狙い、連れ去ったようだ。






『俺じゃ無いです。違います』


と、イツキは猿轡の下から必死に訴える。
身を捩らせても、上半身を拘束するロープは外れず、男に、足の上に乗られては、どうする事もできない。

頭の片隅で、まあ、間違われるのも無理は無い…とも、思う。
繁華街の片隅。昔ながらのラブホテルの駐車場で、
チンピラ風情の佐野と一緒に「自分」がいたら、まず、そういった商売の子なのだと思うだろう。

立ち方も、目の伏せ方も、溜息も

自分であまり自覚は無いが、まあ、……そうなのだ。







「……へー…、流石に…お高いだけ、あるよなぁ…。
見ろよ、ツルツルだぜ。…可愛いもんだ……」



イツキの上に跨った男は、イツキのズボンと下着を下ろし

露になった局部を見て、触って、素直な感想を口にした。






posted by 白黒ぼたん at 22:18| Comment(49) | TrackBack(0) | 日記

2021年11月22日

その頃の黒川










その頃の黒川はと言えば
…人と会う重要な仕事をしていて、少々、忙しかった。
『レノンが心配で、佐野とホテル紫苑に向かう』と
少し前にイツキから連絡があり、気には掛けていたのだが…

…まあ、こちらも忙しい。
「佐野」も「ホテル紫苑」もどちらもイツキにとっては慣れ親しんだものだ。
間違いは……あっても大した事は無いだろう。
そう楽観的に構えていた。




「……これで契約書は整いましたね。黒川さん。よろしければ向こうに一席設けていますので…」
「…それは、…どうも…」




場所を変え、軽く一杯付き合う。
途中、内ポケットのケータイが着信を告げたが、それには出そびれてしまった。

取引相手の男は豪快に笑う大男で、大酒飲みの女好き。
黒川に接待とは名ばかりで、早々に自分が出来上がり、黒川にも酒と女を勧めた。



それからまた暫くして、ケータイが着信を告げる。
今度の電話には出ることが出来たが、生憎、周りが煩さ過ぎた。
ディスプレイには『愛川商会』。今日のレノンの相手先。
話をしているのは実際の客ではなく、その部下のサエキという、黒川も知っている男だった。






『……ああ、黒川さん?……ん?お楽しみ中かな、悪いね。はは。
いや、お宅のレノン君、ちょっと躾がなって無いかなって。親爺さんがね……ああ。
……そんな訳で、……もう少し、遊ばせてもらうよ。
……まあ、酷い様にはしないからさ…。じゃあ……』






切れ切れに聞こえてくるのは、そんな話だった。
もう少し詳しい内容を聞こうと思ったが、隣りに座る女がグラスの酒を溢して、それどころでは無かった。








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2021年11月25日

その頃の佐野っち









ラーメン屋を出た佐野は車で、レノンを自宅まで送っていた。
レノンの家はやや郊外。行って戻ると2時間ほどは掛かるのだが…
…さすがに、未成年を、そんな仕事で使っているだけあり…
せめて送り迎えだけは面倒を見てやっている。…と言うか
監視と言うか連行と言うか…常に誰かしらを傍に付けているのは
相手を思いやって、よりも、万が一に備えたこちらの保身の意味合いが強かった。



ともあれ
文句を言いつつ、今も、それは佐野の仕事で。

助手席でうつらうつらとするレノンを横目で眺めながら…
こいつも、黙って寝てればカワイイのにな、などと思っていた。




ナビ替わりにハンドル横に据えてあったケータイが鳴る。
あまり運転中に電話には出ないのだが、さすがに相手が「黒川社長」となれば話は別。

丁度目の前にコンビニがあり、佐野は車を駐車場に入れ、電話に出た。





「はいっ お疲れ様っす、社長」
『……佐野。今、どこだ?』
「…え、…立川っす。……レノン、送ってます」
『レノン…、…レノンが一緒にいるのか?』


黒川はどこか賑やかな場所にいるのか、それとも郊外で電波が悪いのか…声が遠い。
佐野はケータイを耳に押し当て、大声で話し、その声でレノンは目が覚める。



「え…、レノン、隣にいます。もうすぐ家っす…」
『……イツキはどうした?』
「あいつは帰りましたよ。…ホテルで…俺ら、別れて…」
『一人で帰したのか…?…』




その後黒川は何か話しかけたようだったが、聞き取れない内に電話は切れてしまった。

ただの現状確認なのだろうかと佐野も通話を終えるも……何とも言えない不安感が残る。


イツキは…濃厚こってりラーメンが嫌で…帰っちまったんだよなぁ…と、自分自身に言いくるめていた。










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2021年11月26日

その頃のイツキ







その頃のイツキの状況は、あまり良いものでは無かった。

上半身は腕ごとロープで拘束され
口元には猿ぐつわ。
拉致された時の薬品はすでに揮発しているようだが、それでもどこか、朦朧とする。

ベッドに放り出されて、下半身は、すでにズボンも下着も脱がされていた。

足を少し開いた状態で、その膝の上に、男が跨る。
男は露になったイツキの局部を弄っていた。



潤滑剤に危険なものは使われていないものの
滑りの良いジェルを塗られて、節のあるディルドを挿入され
中を、くちゅくちゅと掻き回される。
イツキの身体はその都度律儀に反応し、あちこちをピクリと揺らし

男はそれを見て楽しんでいた。





「……コイツ、反応、いいぜ?…面白れぇ…」
「話じゃ、全然、感じが良くないって言ってたけどな。…ふぅん?」
「親爺さんが下手糞過ぎたんじゃねぇの?……ほら、これだけでイキそうじゃん?」



そう言って男は笑いながら、焦らすようにゆっくり、玩具を出し入れする。
イツキはくう、と鳴き、頭を左右に振り、身体を揺する。
もう一人の男が興味深そうにイツキの顔を覗き込み、髪の毛を掴み、顔をこちらに向けさせる。



イツキは精一杯、睨んでみせるのだが

涙を溜めた視線はただただ、男たちをその気にさせるだけだった。






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2021年11月30日

サエキさん









レノンは、若くて見た目が良いからと言って、この「仕事」に向いている訳では無かった。
イツキですら、それは解る。
それでも「仕事」をしなければいけないのなら、振りでも演技でも何でも
自分が楽になるための対策を取ることは必須なのだと思う。

嫌で、本当に嫌で、感情のまま相手を拒否し続けるレノンは、それをしない。
愚かだと思う反面、羨ましくもあった。
自分の我を通し続ける強い意志。プライド。
イツキにもそんな気持ちが無い訳ではないのだが

いかんせん。身体が、緩過ぎる。
心より先に、身体が落ちてしまう。







「ああ、サエキさん、お疲れ様っす。…どうでしたか?親爺さん?」
「いやぁ、駄目だな。骨まで行ってたわ。あの人、前にも鼻、潰してるからさ…」




部屋に、もう一人、男がやって来た。
サエキと呼ばれた男は、イツキを拉致した男たちの兄貴分。
レノンの今日のお相手の側近。組ではナンバー2の男だった。


「…そんな訳で、ちょいとお勉強して貰わないとなぁ。…ガキんちょの様子はどうよ?」
「はは、可愛いモンですよ。聞いた話しとは随分違う…」
「…うん?」



サエキは取り敢えず缶ビールを一本開け、口を付けながら、ベッドの側まで行く。

そこでは、もう1人の男が目の前の獲物を姦通しようと
自分のズボンのベルトに手を掛けている所だった。






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