2022年10月01日
助け舟
「……何だ、話してないのか……ふぅん」
勿体をつけるように……もちろんわざとだが……松田はそれきし黙りグラスに口を付ける。
黒川は面白くないといった風に、ふんと鼻で息をつく。
イツキの出張の最終日。何か様子が変だったのは解っている。
そもそも松田と一緒に居たことがオカシイ。
朝から風呂屋で泥酔し、その後は妙に甘え、こちらに帰って来てからは
何事も無かったかのように普段通り…むしろ、出来過ぎているほど大人しい。
煽るように松田は上目遣いで黒川を見る。
解りやすく挑発しているのが憎たらしい。
「イツキくん、社長と喧嘩をしなければいけない問題でもあったのですか?」
助け舟を出すように一ノ宮は、そう言いながらソファに戻って来た。
チーズ的なツマミと缶ビールを3本。タブを開け、黒川と松田に差し出す。
「聞いちゃう?一ノ宮さん」
「ぜひ」
一ノ宮も自分のビールを開け、ふふと笑いながら、チラリと黒川を見る。
「イツキくん、前の晩は宴席でさ。ちょっと暴走しかけて…俺が助けたんだけど。
そもそも何で暴走してたかってゆーと…
自分が出張中に黒川さんが女と浮気してたから、だって。
いや、もう、いじらしくない? 泣くわ、俺」
posted by 白黒ぼたん at 00:16
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2022年10月02日
餃子とレバニラ
仕事の中休みに軽く一杯…の筈だったが
すでにビールは数本目。
一ノ宮は残りの仕事を諦め、パソコンを閉じると、近くの中華屋に食事の出前を頼む。
「………浮気?………なんの話しだ?」
「イツキくんがいない間に、女と寝たんでしょ?」
「女?………ああ、あれか………いや、あれは……」
確かに、心当たりはある。
イツキとの電話で、つい、その事を匂わせた気もする。
しかし、この仕事をしていればそんな事は良くある事で、イツキだって解っているはずだ。
そもそも、一度や二度や三度のセックスなど何の意味も無い事は
イツキ自身が良く知っているだろうに。
「………くだらん。そんな事でイチイチ騒いでいられるかよ……」
「でもイツキくんにはオオゴトだったみたいだよ? あ、一ノ宮さん、餃子ありがとう」
出前が届き、松田は一ノ宮から餃子を受け取る。
一ノ宮はソファには戻らず、少し離れたスツールに座り、黒川と松田のやりとりを眺める。
「イツキ」については泥沼三角関係になってもおかしくはない、変な間柄の筈だが
飄々とした松田の様子からは、それを望んでいるのだとは思えない。
真意はどこにあるのだろうか。それとも
ただ、黒川とイツキの二人が興味深く、チャチャを入れているだけなのだろうか。
「あんただって仕事で女とヤるだろう。挨拶程度だ」
「まあね。でも俺、それは、好きなコの前では言わないよ?不安にさせちゃ、可哀想じゃん」
レバニラ炒めを小皿に取り分けながら、松田がもっともな事を言う。
こんな風に対等に、黒川に口をきく相手というのが珍しくて
……そしてそれを大人しく聞いている黒川珍しくて
一ノ宮は ふふふ、と笑った。
posted by 白黒ぼたん at 15:02
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2022年10月05日
オブラート
少し離れた場所で笑いを噛み殺している一ノ宮を見て、黒川が不機嫌そうな顔をする。
自分より年下の松田にこうも諭されては、面白いはずもないだろう。
「……イツキ相手に、そんな気を遣っても仕方ないだろう。…あいつだってそう、気にもしていないさ…」
まるで自分自身に言い聞かせるように、黒川そう言い、ビールを煽る。
例え、その事でイツキが不安定になったとしても……松田と遊んで気も晴れたのだろう。
……今は何も様子が変わらないのだ。大した問題では無かったのだ。
「………あ…」
変な間合いで声を上げたのは一ノ宮だった。黒川も松田も、思わず一ノ宮を見る。
「……何だ?」
「……あ、いえ……」
ふいに一ノ宮は先日の、レノンの情報を思い出す。
……イツキが、新しい部屋を探している……かも知れないという話。
それ自体が正しい話かも解らないし、何の繋がりも根拠も無いのだけれど
イツキが黒川との関係に何らかの見切りをつけ、黒川の元を離れようとしているのだとしたら……
「……いえ。あれでイツキくんも色々考えて、落とし所を探しているのでしょう。
それでヨシとしてしまうのは、甘えというものです。
雅也、もう少し、真面目に考えた方が良いですよ」
つい、一ノ宮の本音が漏れる。
不確定な話をしても仕方がないと適当に話を繋いだのだが、オブラートに包む間が無かった。
posted by 白黒ぼたん at 23:09
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2022年10月08日
巣箱
「………ん、…マサヤ?………おかえりなさい…」
事務所でどれだけ飲んだのだろう。
いい酔っ払いになった黒川が部屋に帰ったのは、すでに日付が変わった頃。
イツキはいつものように先に、巣箱で眠っていたのだが
そこに黒川は押し入り、酒臭い呼気を撒き散らす。
「………マサヤ、飲み過ぎ?………どうしたの?」
「………飲んでない。……イツキ、話す事があるだろう?」
「…ええ?…何?………ないよ、そんなの……」
黒川はくだを巻き、狭い巣箱になんとか横になり、イツキに難癖を付ける。
イツキは少しドキリとしたが……これはただの酔っ払いだと気付く。
「……マサヤ、お水、飲んだ?……このまま寝ちゃ、駄目だよ?」
「寝るかよ。………お前と、……してからだ……」
「はいはい」
イツキは少し呆れた様子で答え、身体を捩り、この狭い場所で体勢を整えようとする。
それを
イツキが離れると思ったのか、黒川は腕を回しイツキを抱き留める。
暗闇の中、イツキは黒川を身体の線を見つめる。
愛情がない、という訳ではないことくらい、解っている。
「………じゃあ、ちょっと寝てから、ね。……マサヤ。
俺……、どこにも行かないから……」
「………ああ」
幼子を寝かしつけるように、イツキは黒川の背中をぽんぽんと叩く。
この巣箱の中だけが
この二人が、一番素直でいられる場所なのかも知れない。
posted by 白黒ぼたん at 22:23
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2022年10月12日
実際のトコロ
イツキはまだ少しも、落ち着いていなかった。
自分が留守の間…まあおそらくそれ以外にも日常的に…黒川は女を抱いているのだろうし
仕事上と言われれば仕方がない。それを隠すつもりもないのだろう。
自分が不機嫌になればなったで、急に優しく接してくれたりもする。
酔っ払いのうわ言などではなく、本当に、黒川が
そして自分が
互いを失っては苦しいほどには好きなのだと自覚している。
「でもなぁ…、なんだか。……そういう事で頭を悩ましていること自体がイヤ。
さんざん酷いこともあって、これからだってきっとあって、そんなのはもう百も承知だよ?
でも、…ちょっと帰りが遅いだとか、…嗅ぎ慣れない香水の匂いがするとか…そんなんでイチイチ
上がったり下がったりするのが嫌。
……一緒に居過ぎるのも問題だと思うんだよね。
知らなくてもいいことまで、知っちゃうじゃん。それが駄目だと思う…」
黒川が仕事に出掛けたあと、イツキは1人リビングで
少々、大きめの独り言をつぶやき、自分で自分の気持ちを確認する。
手元のスマートホンを、ざっとスクロールする。
……住宅情報のサイトには、魅力的な物件が並んでいる。
「………離れて暮らす、とか、いいよね。……いいけど……
……家賃、どこも、高いなぁ……。一人で生活するって……お金、掛かるよね……
俺、結局、生活の全てをマサヤの世話になってるんだもんなぁ……
ハーバルの給料だけじゃ無理だし…、マサヤに貰うのも……なんだよね…」
一応、成人男性となったイツキに芽生えた自我は
あればあったで、厄介なものだった。
posted by 白黒ぼたん at 22:56
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2022年10月17日
仄暗いもの
ある日の夕方。
何かのついでにイツキが事務所に立ち寄ると
そこでは一ノ宮が一人で、作業をしていた。
「……ああ、イツキくん。こんにちわ。……社長ならあと少しでこちらに……」
一ノ宮は仕事の手を止め、イツキに挨拶をするも
イツキはその手元に、目が釘付けになっていた。
一ノ宮はソファに座り、テーブルの上に小型の持ち運び用の金庫を置き
ぎゅうぎゅうに詰め込まれた一万円札を数えていたのだ。
「……うん。……ああ、店で待ち合わせでも良いんだけど……、……すごいね、一ノ宮さん」
「はは、コレですか。あちこちの売り上げがごっちゃになってしまって…」
とりあえず一ノ宮は金庫を閉じ、奥の棚に仕舞い込む。
イツキはそちらをあまり見ないようにしながらも、気になっているのは様子からでも明らかだった。
「金」と言うものにイツキはあまり執着は無かった。
家に多額の負債が出来、それを解決するために身体を切り売りしていた訳だが
こと自分自身の生活全般で、カネに困るような場面は殆ど無かった。
一晩、抱かれて、幾ら。等。
以前、軽い家出をした時には、世の中の世知辛さを味わったが…その程度。
ここに来て急激に、そんな事ばかりを考えるようになったのだ。
「……すごいよね。……稼いでるよね、ここって…」
「まあ、それなりには…。あまり誉められる手段とは言えませんがね」
一ノ宮はそう言って、いつもの穏やかな笑みを浮かべるのだが
イツキの視線の奥に、何か、冷めた仄暗いものを感じるのが、気掛かりだった。
posted by 白黒ぼたん at 12:33
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2022年10月19日
男の話
誰もが何か、微かな違和感を感じながらも
あえてそれを揉め事にする勇気も持たず
何となく、普通に、やり過ごし……数日が過ぎたある日。
事務所に、来客があった。
「………よう。黒川。…お疲れさん……」
「…ああ、あんたか……」
男は、昔ながらの知人だった。
ここいらより西の辺りを仕切る同業者。
敵対する相手では無い、もっとも、特別親しい友人でもないが。
顔を合わせれば情報交換がてら、一杯付き合うぐらいの仲だった。
事務所には黒川が一人だった。
急ぎの仕事もなく、まもなく切り上げて帰るかといった時間だった。
「……どうした? こっちに顔を出すのも珍しいな」
「ああ、まあ、もののついでに。……ちょっと確認したい事があってね」
「……確認?」
黒川は奥の棚から洋酒のボトルとグラスを取り、男にソファを勧める。
男は腰を下ろし、黒川も向かいに座り、グラスに酒をストレートで注ぐ。
とりあえず久しぶりと軽くグラスを掲げた。
「……『イツキ』だっけ?……あんたんトコの、子。……あの子さぁ…」
男は酒を一口飲み、少し言葉を選びながら話を始める。
posted by 白黒ぼたん at 20:20
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2022年10月21日
男の話・2
「イツキ…だったよな、あんたんとこの子。
…あの子って、まだ仕事、させてるのか?」
「……いや、もう。……表には出さんよ…」
男の話は『イツキ』の件かと、黒川はグラスの酒を啜りながら答える。
……今でも、『イツキ』を貸せだの売れだの、そんな話は実は多い。
まあ、あれだけ大売り出しをしていたのだから…それも仕方がない事だろう。
「歳を取り過ぎた」や「身体を壊した」や、あるいは冗談めかして
「自分専用にすることにした」と……適当な理由はいくつか用意してある。
けれど、男の話は、少し違った。
「……出してないのか…。じゃあ、人違いかな。……いや、俺も直接会った訳じゃないんで、どうとも言えないんだが…、ウチの若いのが……」
「どこかで、イツキに会ったのか?」
「………ウチの若いのが事務所に連れて来た子が…どうも、素人には思えなくてな……
いや、でも、顔も名前も確認は取れないんで……まあ、違うとは思うんだが…」
男も酒を飲みながら話す。
少し離れた歓楽街で見つけたという少年の話は、非常に興味深く
黒川は、話を続けろよと、空になった男のグラスに酒を注いだ。
「……一昨日の夜だ。俺が事務所に顔を出した時には……もう、終わってたんだが。
浜野が…ああ、ウチの若衆の頭なんだが……、シマの中で無許可の立ちんぼ捕まえてな……
それも女じゃない、男の、だ。20歳そこそこの………」
posted by 白黒ぼたん at 19:31
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2022年10月23日
男の話・3
「同じ場所で3回目だったらしくてな。まあ、目ぇ付けてて…
その日は客を取ったらしくて、便所から二人仲良く出て来たんで…
事務所に引っ張って行ってだな………」
男の話を黒川は、さして興味が無さそうな振りをして聞く。
酒のグラスに口を付けながら、一昨日のイツキはどうしていただろうかと考える。
一昨日は……自分も仕事で、飲んで帰り……部屋に戻ったのは明け方だった。
そのまま寝室で寝てしまったが…多分イツキは……巣箱で寝ていた。と、思う。
『……お兄ちゃん、なんで連れて来られたか解る? 駄目なんだよね、勝手なことされちゃうと…』
『……許可、……必要な場所でした?』
『そりゃあね。……何?どこの子?……バックがいるの?』
ヤクザの事務所に連れて来られた少年と、客とおぼしき若い会社員風。
客の方は怯え、身を強ばらせ、自分は何もしていないんです…と半泣きで訴えているのだが
少年の方は普通に、平然と受け答えをしている。
その様子だけでも、一般の者とは思えない。
『……ごめんなさい。……お小遣いが欲しくて、トイレでちょっと…遊んでただけです』
『……遊んでたって言ってもなぁ、……ガキの遊びじゃねぇだろ ああ?』
組の若い衆は机をバンバンと叩き、凄みを効かせ声を張り上げてみるも
慌てふためくのは、客の男ばかり。
少年は、一応、反省する素振りで頭を下げてはいるが
当然、それで事が収まるはずもない。
posted by 白黒ぼたん at 22:38
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2022年10月25日
男の話・4
有り金を全て叩かせて、客の男は帰すことにしたのだが
あまり反省の素振りのない少年は、残す。
部屋には若衆頭の浜野と、もう1人。
その2人で少年を挟み、散々脅してみるのだが、どこの所属かどころか名前さえも言わない。
拗ねた様子で唇を尖らせ、俯く顔。長いまつ毛が影を落とす。
『…痛い目、見ないと、解んねぇかな、兄ちゃん…』
『………痛い目を見れば……許してくれる?』
少し首を傾げ見上げる視線は、どこか挑発的で
それでいて浮かべる微笑みは、寂しげで、目前の男達は混乱する。
「……まあ浜野もな、本来ならその時点で俺に連絡すりゃぁ良かったんだがな。
まだ若いし、ヤンチャも抜けてなくてな……。
身元確かめて、上に報告してってする前に、なんだか…、面白がっちまったみたいで…」
「…そうだな。まったく。…どんな教育をしているんだか……」
他人事のように受け答えをする黒川に、男は、はははと軽く笑い返した。
『……ね。今、ここで…あんたの相手をしたら……許してくれる?』
『……悪いが俺はそんなシュミは無いぜ? ヤロー相手に勃つかよ…』
『じゃ、尚更。………俺で抜けたら、許してよ』
客引きの少年は身を明かすことと引き換えに、とんでもない提案をし
浜野もうっかり、それに乗ってしまうのだった。
posted by 白黒ぼたん at 23:05
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2022年10月26日
男の話・5
男が事務所に帰った時には、すでに、コトは終わり、少年の姿もなく。
浜野は満足そうな…いや、むしろ…精魂持って行かれた風な様子で、長椅子に横になり
事の次第を男に説明するのだが、話の半分は、何を言っているのか良く解らないのだった。
『……面白い事言うな、お前。……まあ、いいぜ、やってみろよ』
『…………はぁい』
浜野は、もう1人の男と目を合わせニヤニヤと笑う。
二人ともこの商売。色事には長けているが、同性との趣味はない。
仕事上の付き合いはあるが、キワモノだ……変態だと、どこか侮蔑している様子。
こんな男娼相手に勃つかよと、せせら笑い、促されるまま長椅子に座る。
『………ちょっとだけ、灯り……、暗くしてもらっても良いですか?』
『……ああ』
『ありがとうございます…』
少年はもう一人の男に頼み、頼みながら、ゆっくりと自分の上着を脱ぐ。
特に色気を撒き散らし、シナを作る、訳でも無いのだが…所作は綺麗で
見惚れる程でも無いのだが………どこか、心に引っかかる。
単純に、綺麗な子だなと、男は思う。
あと。何か、良い匂いがする。
『俺、フェラは得意なんです。おにいさん、イチコロですよ』
わざわざそんな事を宣言するのが面白くて
そして、その後に見せる笑顔が……妙に艶かしくて。
ふと、油断した隙に、下半身に刺激が走った。
posted by 白黒ぼたん at 23:45
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2022年10月30日
男の話・6
『……あ、いやっ…待て、待て待て………』
少年はソファの浜野の前に身を屈め
男のズボンのベルトを外し、ボタンとジッパーを外し、下着のウエストゴムをずり下げ
出てきたものに、躊躇することなく顔を擦り寄せる。
一度、下からペロリと舐め上げるとそのまま浜野の顔を見上げ
視線を絡めたまま、今度は根本までぐっと口の中に収める。
『男相手に勃つかよ』
と鼻で笑っていた浜野だったが、……口で、される感触に、男も女も関係は無い。
舌遣いの巧さについ流されそうになり、慌てて少し腰を引き、少年の頭に手を当てる。
『……せ、急かし過ぎだろ。……もっと…丁寧にやれよ………』
『……………ん』
口に物を入れているのだ、返事は短い。小さく頭をこくんとする。
言われた通りに動きを緩めるのだが……今度はそれが物足りなくなってしまう。
思わず、手に力が入り、少年の頭を自分に押し付けそうになる。
少年はまた『………ん』とくぐもった声を上げ、息苦しいのか、少し嫌々と首を振る。
強いのかと思えば、微弱で。足りず。
欲しがるのではまるで、こちらが請うているようだ。
息苦しさに吐く息は、湿り、喘ぎ声にも似ていて
時折絡まる視線は、物憂げで、おまけに少し潤んでいた。
『…………なんだ、こいつ…………』
浜野は心の中でそう呟く。
それと同時に、……下が脈打つ。
集中していないと、簡単に持って行かれるなと……睨むように少年を見ると
少年は、浜野の反応が嬉しいといった風に、ニコリと笑う。
posted by 白黒ぼたん at 00:13
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2022年10月31日
男の話・7
良く無い、筈は無かった。
力加減も何も絶妙で、脇に添えた手の動かし方まで計算されているようだ。
けれど、これは、まるで勝負のようなもので
簡単にイってしまっては…負けなのだと、浜野は思い
頭の中で、自分の中で過去一番の萎える経験を巡らせながら、やり過ごす。
それでもそうやって耐えている時間、そのものが
特別なプレイのような気がしてくる。
何をどう、考えてみたところで……この少年に持って行かれそうになり
浜野は一度、大きく息を吐き、どうにか気を逸らせようと努力する。
『……なかなか具合、良さそうっすね、浜野さん…』
ソファの後ろ側で見物よろしく眺めていたもう一人の男が声を掛ける。
この男は勝負の事など関係ない。
浜野が終われば次は自分がお溢れに預かれると、股間を摩りながら、言う。
『………ふん。まあまあ、かな…』
取り敢えずそう言ってみせる浜野に、少年は少しカチンと来たようだ。
浜野のモノの根本から先端まで、わざと、舌を大きく出し舐め上げると
そのまま身体を起こし、浜野の耳元に顔を寄せる
細く柔らかな髪の毛が、くすぐったい。男のくせに………良い匂いがする。
『……勃たないんですね、つまらない。
これじゃぁ、使い物になりませんね……』
posted by 白黒ぼたん at 18:45
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