2025年06月05日
焼肉おわり
一ノ宮を見送り、イツキと黒川も店を出る。
マンションまでは歩ける距離で、一応、その方向へと歩き出す。
黒川が半歩先を歩き、イツキは後ろから付いていく。
手を、繋げるほど、まだ酔いは回っていないようだった。
重要な話の途中だった気もするが、2人きりになるとどうにも…言葉が詰まる。
酒と肉と、一ノ宮が間に入ってくれた方が素直になれるのか。
「……マサヤ、コンビニ寄ってく?…牛乳、切らしてたかも……」
など、そんな事は本当にどうでも良い話で
もっと大事なことがあるだろうと、軽く、怒りすら覚える。
「……クソ」
黒川がついた小さな悪態は、自分自身に向けたものだった。
ふいに黒川は振り返り、イツキの腕を掴み、歩く向きを変えさせる。
道路の際まで行くとタクシーを呼び止め、2人、傾れ込むようにして乗り込んだ。
posted by 白黒ぼたん at 00:24
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2025年06月29日
この先の顛末・1
「どうする?遊ぶ?……どちらでも」
イツキの元にメールが入ったのは、黒川が仕事で留守にした週末。
もともとその予定を知っていて、そんな誘いを受けていて
どうしようかと…思っていた所だった。
「ごめんさない。辞めておきます。いろいろ、相談に乗って貰って
ありがとうございます。
話しはまた今度、改めて…」
返信を送って、ふうと一息をついた。
正直な所。
正直な所、どちらでも良かったのだけど。
最近、イツキが束の間の逢瀬に選んだ男は、少々ゆかりのる、二条虎松だった。
特別、感情の縺れがある訳でもなくて、そこそこ、事情も解っている。
会って、セックスをして、別れる。そんな位の、適当な間柄だった。
黒川が週末に出掛けると、それで少し寂しいなどと、不安めいた話をしたのかもしれない
それで、わざわざ、確認のメールを寄越してくれたのだが
イツキの返事は色気もなく、No だった。
それは昨夜の、黒川との…
行為が、満足するものだったからだと
…そんな事が、理由だとは、本人も気付いていないけれど。
「やば。俺。マサヤにマジ。好き好きっぽいじゃん…」と
ケータイを閉じて、つい、笑ってしまっていた。
もし、あの時の返事がYESなら
この先の顛末は。まるで違うものなっていたのだけど。
posted by 白黒ぼたん at 23:21
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