2015年03月13日

降って湧いた話






「…修学旅行?」
「そう。修学旅行」
「…今更?…修学旅行?」
「そう、今更、修学旅行」

  


降って湧いた様に飛び出した梶原の話に、イツキは目を丸くして、馬鹿のようにおうむ返しで応える。
2学年の2月になって、いきなり、こんな話が出るなど思ってもいなかった。

もっとも、一部では、噂されていた話だのだが、学校行事にとんと無関心のイツキには、寝耳に水だった。



「いや、でも、ちゃんとしたヤツじゃないよ。
アレコレ都合で修学旅行は中止だったけど、やっぱ、寂しいしさ。どうにか準備が出来て、京都に二泊。
急な話なんで参加は自由。行かない組は学校で自習。現地集合現地解散。ほとんど自由行動らしいぜ」

「……そんな話なんて、あるの?」

「な。…まあ私立だしな、なんでもアリなんじゃない?」



そう言って梶原は笑い、そして当然のようにイツキに「行くだろ?」と聞く。



「費用はもう、積み立て分があるし、修学旅行って言っても課外授業に毛が生えたぐらいのもんだよ。
来年は受験でそれどころじゃないしさ、最後に、いいんじゃない?」

「……俺は…、いい。……行かない…」

「そう言うだろうと思ったけどさ、……行こうよ」





そうして梶原は本当に素直な優しい目で、イツキの顔を覗きこむのだった。






posted by 白黒ぼたん at 20:43 | TrackBack(0) | 日記
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