2015年06月04日

面談・1







加瀬は学年主任ではあったが、それはもっぱら名前だけという所で
実質はやはり副理事。…それ以上に、学校の裏側を仕切る立場という役職だった。
健全な学校運営の影には、やはり、多少の毒も必要で、理事長からの信頼の厚い加瀬は、その辺りを一任されていた。


学校では殆ど副理事長室に籠り、そう姿は見掛けない。
たまに廊下で擦れ違っても、一般の生徒は、加瀬の名前すら思い出せないだろう。

何か、特別な事情がある者は、別だが。








「………まあ、問題は無いと思いますがね……」



ブラインドの隙間から西日が差し、逆光の中、加瀬は書類をぱらぱらとやる。
正面のソファにはやや緊張した面持ちで、生徒が一人座っていた。


「少々、成績を落としましたか?…何か問題でもありましたか?」
「いえ。…大丈夫です。3年で、カバーできます」
「そうですか。なら、結構」


加瀬は、手に持っていた書類をデスクに置き、顔を上げると、とりあえず笑顔を浮かべる。



「君には期待していますよ、梶原くん」
「ありがとうございます」
「条件とペナルティを忘れないようにね」
「……はい」


そう言って、梶原も、とりあえずぎこちない笑顔を浮かべた。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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