2015年06月16日

やせ我慢







一ノ宮が昼過ぎに事務所に行くと、黒川が狭いソファの上で眠っていて、驚いた。
黒川は物音に気付いたのか目を覚まし、もそもそと起き上がる。



「……ずっと、…こちらに?」
「…ああ。…何時だ?」
「2時です、昼の。……昨夜はイツキくんと一緒だと思いましたよ、吉村さんの所だったのでしょう?」
「ああ。迎えに行って、送って…。……運転手か、俺は」


黒川はそう言って、自分で笑う。
背伸びをして、手を首の後ろにやって、筋を伸ばしてみる。


一ノ宮は事務所の隅の小さな流しでコーヒーを淹れる。
黒川は煙草に火を付けながら、「…そうそう、あいつに付き合っていられん。俺も忙しい。武蔵会から電話があったぞ、来週の予定を……」と、あれこれ言い訳がましく並べ立てる。






黒川とイツキは、時折、親密に濃厚に距離を縮めたかと思えば
それを認めまいとするように、わざとらしく間を空ける。
別に今更、どうでも良いだろうにと、一ノ宮は思うのだけれど
この特殊な関係には何かと、気遣いが必要なのかとも、思う。




「…おつかれさまでした」と言って、一ノ宮はコーヒーのカップを黒川に手渡す。

黒川が怪訝な顔をしたのは、一ノ宮が少し、笑っていたからだろう。





posted by 白黒ぼたん at 00:43 | TrackBack(0) | 日記
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