2015年06月17日

すれ違い・2





『彼は君とは同じクラスになりたくないそうですよ』



梶原は、先日加瀬に言われた言葉が、まだ引っ掛かっていた。
確かに自分はお節介で、イツキにとっては、迷惑な部分もあったかも知れないが…、そう、嫌われているとは…思ってはいなかった。





『…イツキは俺の事、本当は面倒だと思ってたのかな。確かに色々…ウザい事もしたし、……ちょっと…、アレな事もしちゃったけど…
でも、友達だよな?…何だかんだ、一年間、楽しかったよな?
修学旅行だって行ったし、一緒に、ソフトクリーム食べたし…

同じクラスになりたくないって、何か理由があるんだよな?
大体、何で加瀬先生がそんな事、知ってるんだよ。…何か、事情があるんだよな?』





授業中、梶原はイツキの事ばかり考えて、講師の言葉など何一つ頭に入って来なかった。
終業のベルが鳴ると弾かれたように顔を上げ、振り返ってイツキを見る。

イツキはまだノートに視線を落とし、必死に、黒板の文字を書き写していた。
決して上手ではない字と、隅の方に書かれたウサギ…、か、猫…の絵が愛しい。


おそらく、イツキなりの理由があるに違いない。
こんな事でもやもやと頭を悩ませている自分が、嫌だった。





「……な、イツキ」
「先生、字、書くの早い…。図とか、…無理だし…」
「それ、教科書に同じの、載ってるよ。……な、昼メシ、食いに行こうぜ?」



悩んでいるくらいなら、はっきり本人と話をしようと、梶原はそう、誘う。
けれど、やっとノートを取り終わったイツキは顔を上げ、にこりと笑って、

「……ごめん、ちょっと、用事がある……」

と、言うのだった。



posted by 白黒ぼたん at 22:49 | TrackBack(0) | 日記
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