2015年07月02日

2.電話






真夜中に黒川から電話があったのは、ただ、週末の予定を確認するためだった。
イツキの声が小さく低く、どこかうわの空だったのは、寝ぼけているためか…予定に不満があるためかと思ったのだけど、最後に



『……明日は、……出掛けるから…』


と、言う。


『何だ。また学校のオトモダチとくだらない……』
『……お父さん、……死んだって、お母さんから電話があって…。明日、お葬式……』






しばらく間が空いたのは、お互い、何を言えば良いのか忘れてしまったためだった。

イツキは正直なところ、この事を黒川に話すのはどうなのだろうかと、思っていた。

最後に思い出すのは、父親が、黒川に足蹴にされ、血だらけでうずくまる姿なのだ。

自分には父親、母親、実家…は、すでに無い物で、それに触れる事は一切タブーなのだと、イツキは自分に言い聞かせていたのに。





『……お昼頃…行って、………すぐ帰ってくるから…』
『佐野をやる。車で行かせるから、一緒に行け』
『……え、いいよ…』
『一緒に行け。その方がいい。日曜日の予定は無しだ、気にするな』



そう言って、電話は切れた。




posted by 白黒ぼたん at 22:21 | TrackBack(0) | 日記
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