2015年07月04日

3.佐野






佐野が話を聞いたのは、黒川がイツキとの電話を終えたすぐ後。
佐野は仕事とは名ばかりの、知り合いの店で飲んだくれていたのだけど、黒川に、明朝、車で事務所に来いと言われ、酔いが冷める。
葬式だと言うので、喪服を着ては行ったのだが、それがイツキの父親だとは、事務所に着くまで知らなかった。


『…え、俺なんかが行って、いいんすか?』
『別にどうこうする訳じゃない、運転手だ』
『社長は行かないんですか?』
『俺が行ってどうする、そんな義理は無いだろう』


無いと言われれば無いが、まるで関係が無い訳でもないだろう。
それでも黒川が顔を出せば、面倒な事になるのは明らかだ。

それは、イツキが顔を出しても同じ事で…

自分を同行させるのは、多少なりともイツキを助けてやるためなのだと

黒川なりの気遣いなのだと…、佐野は、思った。





「家、群馬かぁ…。お前、行ったこと、あんの?」
「……ううん。……全然、連絡…、してないし……」
「そっか…」
「だから…別に…いいのに。……知らせなくても。…もう、お互い…、……いない人って…思ってたのに……」




イツキは切れ切れに言葉を繋ぐ。




posted by 白黒ぼたん at 00:44 | TrackBack(0) | 日記
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