2015年07月04日

4.香典







伝えられた場所は実家ではなく、葬祭場だった。
実を言えば父親は、すでに2日間に息を引き取り、病院からこちらに移り、今日荼毘にふされるのだと言う。


予定通りの時間に葬祭場に着き、駐車場に車を停める。
佐野がイツキを見遣ると、イツキは蒼白な顔をして、ただ、うつむいていた。



「……大丈夫か?」
「……大丈夫だよ。……もう、死んじゃってるんだし…」


そう言って、無理に笑って、イツキは勢い、車を降りた。








葬祭場に入ると、心の準備も終わっていないのに、すぐ正面に母親が立っていた。
お互い、すぐに気付き、口をぽかんと開けたまま立ち竦み、思い出したように慌てて、頭をぺこりとさげる。



「このたびは、ごシューショーさまです。これ、社長からです」



口火を切ったのは佐野で、そう言うと懐から香典の包みを出し、差し出す。
それは横目で見たたけでも厚みがあり、かなりの額が入っていると解るものだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:45 | TrackBack(0) | 日記
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