2015年07月07日

7.小箱







実際、亡くなったのは昨日の明け方だったそうだ。
今日、病院から葬祭場に移動し、イツキ達が到着する少し前に、僧侶が来て枕経をあげてもらうだけの簡単な葬儀を済ませていた。


お別れの言葉を探す間もなく、やがて時間が来て、父親は行き、


気が付けば、小さな箱になって、目の前に戻って来ていた。








「………大丈夫か?………イツキ?」


佐野は特に何の手伝いをする訳でも無かったが、ずっと、イツキの傍にいた。
本当はどこか外で待っていようかとも言ったのだけど、イツキが、行かないで欲しいと頼んだのだ。


かと言ってイツキも、特に泣き崩れて、佐野に抱き付く訳では無かったのだけど、


それでも、近くに。……今の自分の世界を知る佐野に、近くにいて欲しかった。




「………ん…」


そう答えて、イツキは、無理な笑顔を浮かべる。


「……ありがと、佐野っち。もう。……帰ろっか…」
「え、いや、お前…。まだ、話とか…あんだろ?」
「……無いよ」



すると、そんなやりとりを聞いていたわけでは無いだろうが、母親が、イツキの傍に歩み寄り、声を掛けた。



「お茶ぐらい、して行きましょう。……お連れの方も一緒に、ね」





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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