2015年07月13日

13.限界







イツキはどうにかエントランスを潜り、ホールを抜け、エレベーターの前に立つ。
今日に限って照明はいやに暗く感じ、空気は湿り、酷く寒い。
当然、小さな箱のエレベーターは独りきりで、扉が閉まると、少し耳が痛くなる。

照明に、蛾が、当たる。
これから、否が応にも父親を思い出す、夜が始まる。








「………イツキッ!?」

佐野は車の中で一服を終え、車を出そうとエンジンを掛ける。
サイドブレーキを解き、ブレーキから足を外し、何気に、もう一度マンションに目をやると、
エントランスの奥から、こちらに向かって走るイツキの姿が見えた。

少し走り出した車を慌てて止める。その間にイツキは車に駆け寄り、運転手側のガラス窓をバンバンと叩く。



「…何っ、……どうした、……イツ……」



ドアを開けると、イツキが倒れ込んで来る。
そのまま佐野の身体に腕を回し、抱き付く。
佐野は身体を後ろに反らせながら、イツキをどうにか受け止める。



「…………の…、……っち……」
「………イツキ?」
「だめ。……おれ、1人にしちゃ…、………だめ…」



堰を切ったように、涙がぽろぽろと零れ落ちる。
それは今日一日、流す予定だった、すべての涙のようだった。
イツキは泣きじゃくりながら、佐野に、傍にいて欲しいと懇願し、



佐野は返事の代わりに、イツキを強く、抱き締めた。







とりあえず、ここまでw
続きはまた今度ww
posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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