2008年05月25日

からっぽ

煙草とぬるい汗と精液の匂いしかしない部屋に
ギシギシとベッドが軋む音が響く。
うつぶせに寝かされたイツキの身体は壊れた玩具のようで
背中の男が動く度に、短い悲鳴を上げた。

「嫌」という言葉も「助けて」という言葉も
もうなんの意味も持たない事は解っていたけど
つい、口の端から零れてしまって
男を喜ばせていた。

「…待って、お願い。待って…、待って…」

どうにかなってしまうのを少しだけでも遅らせたくて
イツキの手がシーツの上を滑る。
けれど、何も掴むことは出来ず、からっぽのまま握られる。
その手に杭を打ち込むように

マサヤの手が重ねられた。


posted by 白黒ぼたん at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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