2015年07月21日

佐野の役目・1






朝。
枕元に置いてあった電話が鳴り、佐野は目を覚ます。
隣で眠っているイツキを起さないようにベッドから起き、声が聞こえないようにと出来るだけ部屋の隅に身を寄せて、電話に出る。




「……はい。……すんません、一緒っす…」


電話の相手は黒川だった。
イツキの様子を聞く黒川に、佐野は正直に、昨夜からずっと一緒にいることを伝えると、

それは、予想済みといった感じで、何の咎めも無かった。



『…悪かったな。…まあ、あいつの気の済むまで付き合ってやってくれ。…仕事の方は西崎に話しておく』
「……はい」


そう言って、黒川の電話は切れた。

本当は、傷心のイツキの傍にいて慰めるのは、自分ではなく、黒川の役なのではないかと思っていたが…

今回ばかりは、逆に、自分でも良いのかも知れない。

黒川もそれが解っていて、自分を、イツキに同行させたのだろうと思う。







佐野はベッドに戻り、端に腰掛け、眠るイツキの顔を眺める。
少しやつれた面持ちではあっても、深く寝息を立てる姿に、安心する。



posted by 白黒ぼたん at 22:06 | TrackBack(0) | 日記
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