2015年07月25日

佐野の役目・最終話








夜通し身体を重ねて、涙とヨガリ声ですべての水分と気を使い果たして
外が白んでくる頃、事切れたように、ようやくイツキは眠りにつく。

決して、満たされた、幸福な寝顔では無かったけれど
答えのない不安に心を苛まれ続けるより、よほど良かった。

さすがに佐野も疲れ、風呂に入るのも忘れて、イツキの隣でそのまま眠る。
恋人同士のように腕枕をし、抱き締めると、少しだけイツキの頬が緩んだような気がした。






黒川からの電話で目を覚まし、佐野はベッドを抜け、部屋の隅で煙草を一服吹かす。
冷蔵庫の水を飲み、ふたたびベッドに戻ると、イツキも眠りが浅くなったのか、もぞもぞと身体を揺する。

大あくびをして、猫のように身体を伸ばし、丸め、手の甲で顔をごしごしとやり、
目を開けると、イツキを見つめていた佐野と、目が合う。



佐野は、イツキの様子が可笑しくて、半分、笑っていた。
イツキも、その笑顔につられ、笑い、



「………おなか、すいた…」



と、言った。






posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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