2015年07月29日

NO大丈夫







佐野には「大丈夫」とは言ってみたものの、当然、イツキは大丈夫では無かった。


部屋に入れば勿論1人きりで、耳と胸がキンと痛くなる。
部屋中の明かりを付け、見もしないテレビを点け、洗濯や、台所の掃除や、普段しない事に忙しく動き回る。

何かをしていないと、何かを考えてしまいそうで、嫌だった。


ケータイには梶原からのメールと着信が溜まっていて、それを見てやっと、昨日が終業式だった事を思い出した。
学校にも特に連絡を入れていなかったので、ただの欠席だと思われているだろう。

せめて梶原には連絡をしようと思ったのだけど、……メールの文面に悩む。
『おとうさん、死んじゃった』では子供じみているし、『父が他界しました』では真面目すぎる。
直接、話した方が楽なのかもしれないと、電話を掛けてみたのだけど、何故か電話は繋がらずに……

やがて、連絡を取るのに、飽きてしまった。




夜は、やはり、泣いてしまった。
佐野を呼ぼうかと思ったけれど、それは止めた。



次の日も、ほぼ、同じように過ごした。
めずらしく布団を干し、埃まみれになりながら、クローゼットの片づけをした。
途中、ふと涙が零れるのだけど、それは埃が目に入ったのだと思った。
お腹が空くと買い置きのカップラーメンを食べて、ビールを飲んだ。




ようやく、黒川が、イツキの元を訪れたのは
その日の、真夜中になってからだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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