2015年07月31日

嫌な、マサヤ・2








「……母親とは、話が出来たのか?」





黒川はイツキの方を向かずに、そう尋ねる。
イツキが小さな声で「…うん」と言うと、「そうか」と答える。



この男でも多少は…気にしているのだろうか。
イツキが、家族との間に、深い傷を残している事に。

痕を残しながらもようやく乾いてきた傷の、カサブタが、剥がれてしまったようだ。



「…妹がいたか…」
「…うん」



またそれだけ、短い会話を交わす。
あえて好んで、傷口を広げるつもりもないのだけど…言葉の一つ一つが、傷に障る。



「まあ、どのみちもう、縁が切れている。関係の無い話だな」
「……そう…だね…」




そう言ってから、本当に、言葉が途切れてしまったので



黒川は吸いかけの煙草を灰皿に押し付けて、その手を、イツキの濡れた頬にやる。





posted by 白黒ぼたん at 22:22 | TrackBack(0) | 日記
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