2015年08月07日

同じ理由






次の日。
目が覚めたのはもう昼過ぎで、
イツキがシャワーを終え部屋に戻ると、すでに黒川は身支度を終え
『明日の夜は、向こうの部屋に来い』と、
ろくにイツキの顔も見ずにそう言って、出て行ってしまった。


イツキは
少し、頭の整理が付かずに
バスタオルに包まったまま、ソファに座り、ぼんやりとする。

あまりに黒川が素っ気なさ過ぎて、昨夜の時間が、すべて夢だったのではないかと、思う。




昨夜の黒川は甘くて優しくて、きちんと、自分を抱き締めてくれて
もう本当に、世界に、黒川と自分だけでもいいと…思ってしまえる程だった。

父親の事も、「仕事」の事も、色んな確執があったけれど、そんなの

2人だけでいる時間と比べれば、塵にも等しく、微風に散ってしまうものだった。




『………イツキ』




自分の名前を呼ぶ黒川の顔を思い出すだけで、恥ずかしさでどうにも、身体が焦れ焦れしてくる。
逆に今、黒川が目の前にいなくて、本当に良かったと思う。



そして、

もしかしたら黒川も、同じ理由で、さっさとこの部屋を出て行ってしまったのではないかと…思った。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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