2015年08月20日

雅也とイツキくん・3







夜中。社長が事務所に顔を出す。
社長は何事もなかったように普通に仕事の話をして、これからの予定などを尋ねる。
真面目な話が一通り終わった所で、昼過ぎにイツキくんが来たことを告げると、少し頬を緩めて鼻で笑う。



「……中華屋に行きましたよ。餃子を2枚と、野菜炒めと、ラーメンと、杏仁豆腐と…。
イツキくん、随分、お腹が空いていたんですねぇ…」
「あいつは馬鹿だからな。性欲と食欲が底なしだ」


冷蔵庫から缶ビールを取り、ソファに座る社長に手渡す。
何となく…社長の顔を眺めてしまうと…、社長は何事かと、視線だけを寄越す。



「…イツキくん、…戸惑っていましたよ。…急にあなたが、行ってしまって…」
「…ふん。…そうずっと、あいつに付き合ってはいられんよ。そんなに暇人か、俺は」
「…可愛いじゃありませんか。…あなたと過ごす時間が、もう彼の大半を占めるのでしょう。それを急に付き放されたら、不安にもなります」



そう、言うと、社長は、
どこか嬉しそうな顔をする。
それを誤魔化すようにビールを飲む。
それが少し、腹立たしい。




「……ですから。……社長が急に態度を変えるのは、照れ隠しなのだと言ってあげました。
これ以上、イツキくんと一緒にいると、気持ちが抑え切れなくなるからだと。

それだけ、今は、イツキくんを愛しているのだと……、ね」





言葉の途中ですでに社長は、ビールにむせ、咳き込んでいた。

「……本気か?」と、私を睨むので、「……さあ、どうでしょう」と答えた。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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