2015年08月23日

新学期の朝







鏡の前でイツキは髪を梳かし、少しだけ、ムースを付けてみる。
手櫛で流れを作り、どうすれば…普通の顔になるのかと…考えてみる。
制服のジャケットを羽織り、襟を直し、真っ直ぐに立ってみる。
別に、変な、子には見えないと思う。

始終、男に抱かれ、そこいらの女より酷い喘ぎを零し、欲望を垂れ流している様には見えない。



今日から、三学年が始まる。
二学年の終わりに父親が亡くなり、多少…取り乱したものの…、すでに家族とは縁を切った身。
心の奥底では解らないが、表面上は、何も変わりはないと気丈に振る舞う。
…もっとも、この2週間ほど…丁度春休みの間は、黒川がイツキを手離さず、アレコレ悩み事をする間もなかったというのが実状。


その黒川も、飽きた玩具を放り出すように、イツキを帰す。
これ以上、一緒にいては、お互い、どうにかなってしまうと…お互いが思っていたので丁度良かった。






もう一度、髪の毛に手をやって、溜息を付く。


あまり、深く、考え込まないようにしていた。


イツキを取り巻く問題は、複雑で根深くて、うっかり考え始めると…もう二度と、明るい所には戻って来られないような気がしていた。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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