2015年08月30日

新学期の朝・5






やがて担任の教師が来て、諸々説明を始める。
始業式のために全員で講堂に移動し、加瀬の、ありがたくもない話などを聞く。
そしてまた教室に戻り、あれこれ話を聞き、今日の日課は終了する。


終業のベルが鳴っても、教室はしばらくガヤガヤと騒がしい。

イツキは椅子に座ったまま、酷く疲れていて、立ち上がる気力もないほどだった。



離れた席に座っていた梶原は、そんなイツキを見て、…もしかして…イツキがあんなに杞憂な顔をするのは、自分と同じクラスになった為だろうかと、思う。
気にならないと言えば、嘘になる。確かめた方が良いのだろうけど、何と言って切り出せば良いのか解らない。




「イツキ、帰ろうぜ。メシでも食おう」




先にイツキに声を掛けたのは、清水だった。
イツキは弾かれたように顔を上げ、それが清水だと解ると、…黙って首を横に振る。


「…ちょっと、ちゃんと、話そうぜ。いいだろう?」
「………話なんて、無いです」
「……ふぅん?」



清水は少し身を屈め、イツキの顔を覗きこむ。
イツキは困ったように顔を背け、…その先にいる、梶原と目が合った。






助けを求められていると思ったのは、梶原の勘違いでは無いのだろう。

梶原は勢い席を立ち、半ば小走りでイツキの傍に向かい

「すんません、先輩。俺ら、予定があるんで」と

強引にイツキの手を引いて、その場から、逃げるように立ち去るのだった。




posted by 白黒ぼたん at 23:32 | TrackBack(0) | 日記
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