2015年09月01日

新学期の朝・6






小走りで廊下を通り、階段を駆け下りる。
さすがに清水が追ってくることは無かったけれど、それでもキョロキョロと、後ろを振り返る。


昇降口で靴を履き替える時になってやっと、まだ、手を繋いだままだった事に気が付く。
お互い、照れくさそうに…手を解くのだけど、手のひらには暫く、熱と湿気が残ったままだった。




「……ありがと…」



そう、小さな声でイツキが言うと、梶原はイツキを見て「うん」と言う。
……久しぶりに、……イツキを見たと、思う。
2学年の終わりから、この3学年の始めまで、2週間もない程だったのに、随分と、間が空いてしまったように思う。

少し、痩せた気がするのは、気のせいだろうか…。
一層、儚げで、頼りなさげに見える。



「………だから、……嫌だったのに、…先輩と一緒になるの…」



呟くイツキの声は、梶原に話し掛けているのか、独り言なのか、区別が付かない。

「…お前と先輩って、結局、……どうなの?……喧嘩して、わ、別れた、とか?」
「喧嘩した訳じゃないけど、もう、終わってる。……終わってるのに…」
「先輩は、…そう思ってないんじゃない?何か、話し、したそうだったじゃん……」
「話なんて、無いよ。もう…!」



posted by 白黒ぼたん at 00:04 | TrackBack(0) | 日記
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