2015年09月03日

新学期の朝・8






駅前で一緒にメシでも食べようと言う梶原の誘いをアッサリ断り、イツキは改札に吸い込まれて行く。
梶原はイツキの小さな背中を眺めながら…少し、呆然としていたのだけど…、

慌てて、その後を、追い掛ける。



「……送る。……俺、まだ、お前と話し、したいし…」
「………梶原って…………」


その後に続く言葉は、『しつこい男』や、『面倒臭い奴』だったかもしれないが、
その割には、イツキは微笑み、どこか嬉しそうな様子だった。



梶原の事も、清水の事も、あれこれ考えすぎて、一周回って、どうでも良くなってきた感じではある。

自分はこれだけ頑張ったのだから、もう、どうにでもなれ…と言った所なのか。





「……修学旅行、楽しかったよな。……沼原が、ミニアルバム作ってさ。……写真も、プリントすると、なんか違うよな……」
「…そうだね。……アイス、美味しかったね…」
「抹茶のな!、…うん、美味しかった。……楽しかったな」



また、並んで歩きながら、そんな思い出話をする。たった一か月前の話なのに、随分の昔の事のようだ。
どうしてイツキと距離が空いてしまったのかと、梶原は不思議に思う。





ふいに立ち止まり、涙を零し始めたのは、今度は梶原の方だった。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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