2015年09月04日

新学期の朝・9







「………梶原?」


立ち止まり、涙を零す梶原に気付き、イツキは驚く。
イツキ自身、人目も憚らず涙をポロポロ流すくせに、目の前にそんな男がいると異様だ。


「…何?……どうしたの…?」
「…イツキ、…もう…、俺のこと、嫌い?」
「……えっ……」
「嫌いになっちゃった?……もう…」


あまりにストレートな言葉に、イツキは目を丸くさせて、梶原を見る。
取りあえず脇を通り過ぎる人の邪魔になりそうなので、梶原の腕を引いて、壁際に移動する。


「……梶原…?」
「ごめ…ん…、なんか……、……俺…」



極まってしまった自分が恥ずかしくて、梶原は照れたように笑い、服の袖で涙を拭う。

「……お前と、最近、なんか……、変だなって……、もう、嫌われたかなって……」

それだけを聞くとまるで別れ際の恋人同士の会話のようで、それもまた可笑しくて、梶原は誤魔化すように、はははと笑う。

「………ごめん…」






実を言えば、素直に、自分の感情をぶつけて来るというのは…酷くぶしつけで卑怯なやり方だ。


そんな事を言われてしまえば、イツキは取りあえず「……そんな事、ないよ」と、言うしか無くなってしまう。




posted by 白黒ぼたん at 21:42 | TrackBack(0) | 日記
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