2015年09月16日

初鰹







「……何だよ、イツキ。帰るのか?」
「帰る」


殆ど強姦のような事が終わり、イツキは……トイレに駆け込む。
しばらくして出て来ると、ソファの足元に散らばっている服を掻き集め、身支度をする。
膨れっ面のまま、黒川の顔を見もせずに。


多少は、黒川も、悪い事をしたと思っているらしい。
煙草に火を付けくゆらせながら、口の端を吊り上げ、笑う。


「…横浜の仕事で揉めてな。…出て行った男がいるだろう、自分が下手を打ったくせに、俺のせいにしやがって、胸糞悪い。
……まあ、こんな時に来るお前が悪い」



一応、説明をしているらしかったが、謝罪には程遠い。
イツキは黒川をちらりと見ると、部屋の隅に置いてあったクリーニングの袋を取り、テーブルの上にぼすんと置く。


「……マサヤが、持って来いって言ったんでしょ。……じゃあ、俺、帰る」


これで用事は終わったと、イツキはくるりと振り返り、扉に向かって歩き始める。



ふいに、黒川は、イツキを引き留めるように、背中から抱き締める。




「…帰るのか?」
「……帰る」
「…これから、武松寿司に行くぞ?いいカツオが入ったと、大将から連絡があった」
「………かえ…る」





そんなやりとりをしていると、軽いノックの後、突然、扉が開く。
入って来た一ノ宮は目の前にイツキと、その背中ごしに顔を寄せる黒川と目が合い…口をぽかんと開けたまま…

一礼だけすると、何事も無かったと言う風に扉を閉め、また外に出て行ってしまった。




posted by 白黒ぼたん at 23:54 | TrackBack(0) | 日記
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