2015年09月17日

一ノ宮と黒川






「……それで?」
「ああ、武松に行った。、…初鰹が美味かったぜ。日本酒もいいのが入っていて…」
「いえ、横浜の件です。海王商事の金田社長が乗り込んで来たのでしょう?」
「ああ、そっちか……」



真夜中もさらに更けた頃、事務所で一ノ宮と黒川は、あれこれ仕事の報告をする。
本来なら夕方から落ちあい、出掛ける予定もあったのだけど、それはもう聞かない事にする。



「かなり息巻いていたな。馬鹿な奴だ。結局は自分の失敗だろうに」
「…あなたのやり方が、いささか、強引過ぎたのでしょう。…まあ、向こうにも非はありますけどね…」



以前から黒川は横浜で、その商事会社と手を組み、とある物品の輸入販売に関わっていた。
黒川が関わる以上、正規のルートのまともな商品では無かった。
法的に表に出ないものであれば、お互い、画策し、取れるところから取れるだけ、利益を得ようとしていた。


結果的には…黒川が、その商事会社すら…騙したような形になったのだが。
まあ、それが黒川の仕事なのだから、仕方がない。




「…その内、適当な仕事でも振って、誤魔化しておくさ。…こんな時には、秋斗がいれば便利だったな」
「…そう言えば。…金田社長は秋斗くんを気に入っていましたね」
「…呼び戻して…、金田にやるのも、いいな。……ふふ」




まるで使わなくなったオモチャを人にくれてやるという風に、黒川は言って、笑う。
冷たいその笑顔は、一ノ宮にさえ、ゾクリとする恐怖心を与えた。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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