2015年09月18日

はじめてのチュウ





(ちょっと番外編的なお話です)



とある自習の時間。
イツキは陽の当たる窓側の席で、頭を突っ伏し、うとうとと居眠りをしていた。
周りの生徒も勉強するでもなく、自由に席を移動し、雑談に興じている。
その中で、後ろに座っている男子だろうか、友達とひそひそと話す声が余計に耳についた。


「……マジ、お前。それ、初キスかよ。……遅いんじゃね?」
「…うっせーな。お前だって同じようなモンだろ」


どうやら昨日のデートで、初めて、キスをしたと言うのだ。
イツキは聞くとはなしに、話を聞き、半分眠りかけたぼんやりした頭で、…自分の、初めてのキスは、一体どれだったのだろうと…考えた。





中学2年の夏には、黒川に抱かれていた。
行為の度、唇は重ねていたけれど、それが世に言う「初めてのキス」だとは思えなかった。
もっと、もっと。手を繋ぎ、見詰め合い、恥じらい、
互いの気持ちが高じ、引き寄せられるように、唇を重ねる。
そんなキスを、いつ、自分はしたのだろうか。



「仕事」で他の男に抱かれて、身も心も酷く傷ついて
黒川の車の助手席で、泣きじゃくっていた自分に、ふいに、黒川が唇を合わせたのは、

どんな種類のものだったのか。







「…イツキ、爆睡しすぎ。…顔に服のシワ、残ってんぞ」


授業が終わり、顔を上げたイツキに、梶原がそう声を掛けた。




posted by 白黒ぼたん at 23:22 | TrackBack(0) | 日記
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