2015年09月30日

金曜日・6







お互い、聞きたい話はあるはずなのに、言葉を選んでいる内に口数が少なくなってしまう。
店内の隅で賑やかに興じられるダーツを眺め、ジュークボックスから流れるカントリーミュージックを聴く。



梶原は、イツキが清水と決別した直後、…だと思われる時期を覚えていた。
イツキはふわふわとどこか、心が散って無くなってしまったような様子で、それでも生きている拠り所を探すように、ケータイの画面ばかりを覗いていた。
確認した訳ではないけど、それは、清水からのメールだったのだと、解った。


2人の別れは、本意なものでは無かったのかも知れない。


イツキが何かを吹っ切るように、勉強に身を入れ始めたのも、その頃なのだ。





「……イツキ、今、頑張ってるんですよ、勉強とか、色々。だから、あんまり、邪魔しちゃ……」
「何だよ。俺が邪魔者だって言うのかよ?」
「いやっ、…そういうんじゃなくて……」
「別に今すぐ、どうこうしようなんて、考えてねぇよ。……ただ、本当の所はどうだったのか、……気になってるだけだ」



そう言って清水は、また、イツキを見る。
そして、「……少し、酷い事、しちまったからな」と、言ってみるのだった。



唐突に別れを告げられ、父親との情事を見せられ、直後は酷く恨み、蔑み、なじったものだった。
売り言葉に買い言葉で、金で、イツキを買った事もあった。



その時には、それも仕方なかった事とは言え、
過ぎてしまえば、やはり残るのは、愛しい気持ちばかり。





posted by 白黒ぼたん at 22:00 | TrackBack(0) | 日記
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