2015年10月04日

金曜日・最終日







店では清水が1人、最後の一杯を飲んでいた。
実を言えば清水は、そんなに、酒が強い訳ではない。
それでも梶原の手前、少し、格好を付けすぎたかも知れない。

ぼんやりと酔いの回った頭で、イツキと、いつもイツキの傍にいる梶原の事を考える。



おそらくまだ、身体の関係は、無い。無いけれど確実に、イツキの事を好いているだろう。
イツキの傍にいて、何気ない話しで笑い合い、心を悩ませる事がらを一緒に考えてやる、そんな関係が…羨ましかった。



イツキのアレコレを知らない事が、裏を返せば、梶原の強みだという事は、解っていた。




抱いた時のイツキがどれだけ可愛くて、妖艶なのか。
そんな姿を、目の前で、しかも自分の父親相手に見せつけられれば、どれほど…憎いか。
多数の男に抱かれ、痴態を画面に晒し、それでも学校では制服を纏い、日差しの中で笑う。
その全てが、黒川の物である事も。何もかも。



イツキの事を理解していると息巻く梶原に、事細かに説明してやろうかとも…思ったけれど、止めておく。
それはイツキを庇う意味もあったけれど、大半は、惨めに立ち回った自分を恥じていたからだった。



清水はもう一度、「…あいつは…気楽でいいよな…」と呟やき、



グラスの底に残った琥珀の酒を、飲み干した。





posted by 白黒ぼたん at 23:24 | TrackBack(0) | 日記
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