2015年10月13日

傍杖・6







やがてイツキは目を覚まし、目の前に黒川がいることに、酷く慌てる。
最初に出た言葉が「…ごめんなさい」で、黒川は返事もなく、イツキを睨む。

一ノ宮はどこからか、熱いココアなどを用意していて、イツキにそれを手渡す。
イツキはぺこりとお辞儀をして、それを受け取るのだけど、まだ頭はぼんやりとしていて、状況はよく解っていないようだった。

一口、二口、ココアを啜り…「じゃあ…、俺、帰る……」などと言う。
そしてまた黒川に睨まれ、自分がした、悪い何かを…考える。




「……顔は見なかったのか?」
「………うん」
「…どうせまた、フラフラ歩いていたんだろう。隙だらけで、ケツでも振って…」

「社長!」



つい口をつく黒川の言葉を、一ノ宮が諌める。

イツキは慌ててココアを飲み干し、カップをテーブルに置き、ソファから立ち上がろうとするのだけど
自分が、ワイシャツの他、何も着ていない事に気付き…困る。



「……俺、……服……、かえる……」
「馬鹿か!」



黒川は相変わらず怖い声、怖い顔でイツキを威嚇するのだけど


呆れたように一息つき、一度、視線をそらして間を取ると
毛布を、また、イツキに羽織らせて

「そのまま、巻いていろ。部屋に戻るぞ、…来い」


と言って、イツキの肩を抱いて、事務所を出て
外に停めてあった自分の車に乗り込むのだった。





posted by 白黒ぼたん at 21:19 | TrackBack(0) | 日記
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