2015年10月18日

肉食イツキ






「…災難でしたね。身体は大丈夫ですか?」
「もう、ボロボロだよ。酷いよ」
「…ん?」
「あっちじゃなくて、マサヤね。…優しいんだか、意地悪なんだか、解らないよ」




そう言ってイツキは3センチは厚みがあろうかというステーキを口に入れる。


今日は学校を休んでしまったけれど、このまま、自分の部屋に戻る。
さすがに、1人で帰す訳にはいかないと、出掛けてしまった黒川の替わりに一ノ宮がイツキを迎えに来る。

一ノ宮はイツキに優しく接し、良い店に連れて行き、それこそ精の付きそうなものをたらふく食べさせる。
そんな普通の事が、イツキには、嬉しかった。


「イツキくん、野菜も…」
「一ノ宮さん、俺、やっぱりフィレも食べたい。フィレ、フィレ」
「はいはい。フィレですね…」


頼まれるままに、一ノ宮は追加の料理を注文する。
とりあえず、あんな事があっても…、イツキが元気な様子で食事をしてくれて良かったと思う。


…けれども、途中、イツキは手を止め……ぼんやりと考え事をする。
さすがに食べ過ぎではないのかと、一ノ宮は「……残しても良いのですよ?」と声を掛ける。




「……一ノ宮さん」
「…フィレは持ち帰り用に包んで貰っても…」
「俺さ、最近はちょっと…、マサヤの傍にいてもいいかなって…、本当に思ってたんだよね。マサヤの事、前ほど嫌いじゃないし……でも、」



丁度その時、店員が追加の料理をテーブルに運んで来た。
イツキは食べ終わった皿を端によけ、熱々の湯気が上がる皿を目の前に置く。

そして、それを頬張りながら、「……でも、嫌な事も…、あるよね……」と、呟くのだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:58 | TrackBack(0) | 日記
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