2015年11月02日

黒川と金田・4







イツキが部屋で見たものは、この帽子だった。
最初は、誰の、何の物なのか解らなかったのだけど、電話を終えた黒川が、

『さすがに幼稚園児相手はなぁ…、はは。まあ、報復には丁度いいだろう?』

と言って笑うので、これが、自分を乱暴した男の子供の持ち物で、その子に、黒川が何かしたのだと…気付いた。



『……なに、したの?………小さい子…でしょ?……嘘、でしょ…?』
『…するかよ。帽子を貰っただけだ。…まあ、後は、金田次第だがな』
『…何か…するかも知れないの?……報復って、俺が…されたから…、仕返しって事?』
『ああ、まあな』
『…止めてよ?……止めてよ!マサヤ…!』



ことさら過剰にイツキは反応し、必死に黒川を止めようとする。
…この帽子は、金田の様子を探りに行った時に見かけた金田の子供から、ちょっと通りすがりに、顔も見せずに、くすねた程度の物だった。
実際はまだ、何かを、した訳では無いのだけれど……。



『……駄目だよ、そんなの。……俺の仕返しとか、そんなの、別にいらないからね!』
『馬鹿か。それじゃあ、示しがつかんだろう…』
『でも、こんなのは絶対、嫌!……もし、なんかしたら、俺……怒るから!』


そう、何度も釘を差し、後はイツキは口を結び、不機嫌面を晒すだけだった。




何の関係も無いところで、理不尽な暴力を受ける辛さを
一番知っているのは、イツキだった。
黒川が、それを、躊躇なくやってしまう男だということも、
イツキが一番、良く知っていた。



もちろん黒川も、本気で幼稚園児に手を出そうとは考えてはいなかったのだけど
それにしてもイツキの反対ぶりは、予想外のものだった。





posted by 白黒ぼたん at 00:57 | TrackBack(0) | 日記
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