2015年11月11日
気分転換・最終話
ボーリング場が入っているビルは駅の目の前なのだけど、イツキは疲れたからと、タクシーで帰ると言う。
それは勿論、半分は本当だったけれど、下手に電車で帰るとなると、誰かしらが送って行くと言いかねないからだった。
「…あっ、タクシー来てる。……じゃあ、行くね」
バイバイと、イツキは手を振り、慌ただしくタクシー乗り場に向かってしまった。
残された男三人は少し呆気に取られて、それからお互いの顔を見回してみる。
「……先輩。……さっき、イツキに、何か言いましたか?」
「…んー?さあな。……じゃあ、俺も行くぜ」
梶原の問いを適当にはぐらかし、清水もまたどこか、人混みに紛れて消えてしまった。
イツキは1人、無事に部屋に帰る。
シャワーを浴び、部屋着に着替え、お腹が空いたからとカップラーメンと作る。
ソファに座り、3分間待ちながら、テレビをカチャカチャとやって
清水と梶原は、ボーリングで何の話をしていたのだろうかと考える。
「……先輩、あのキスは、…ズルい」
思い出して、少し、ニヤニヤしてしまう。
その夜は珍しく、黒川の事も、自分がレイプされた事も、他の心配事も、思い悩むことはなかった。
身体の疲れもあって、ラーメンを食べ終わるとすぐにベッドに入り、朝までぐっすり眠ったのだった。
posted by 白黒ぼたん at 20:36
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