2015年11月14日

ひそひそ話







「…前にも言ったと思いますけど…、先輩。…俺、先輩の事は…、もう何とも思ってないんですよ?」
「…ふーん?」
「…だから、もう俺に構わないで下さい。……困ります…」
「あのさ、イツキ…」




昼食時。
食堂にたまたま1人でいたイツキに、清水が近寄る。
まだ食事の途中だったイツキは席を立つことも出来ずに、清水の話に付き合う。
清水はウインナーが挟まったパンを片手に、イツキに、気さくに笑いかける。


「もう、何とも思ってないって事は、前は、何かしら思ってたって事だよな?」
「思ってません。もう…、そういう気持ちは…、無いんです」
「…そろそろ、本当の事、言えよ。黒川さんやオヤジに、何か、言われたんだろう?」
「違います」


イツキは顔色も変えずにキッパリ言い切って、デザートのプリンを口に運ぶ。
これ位の揺さぶりは、当然、予想していた事だった。

けれど清水もまた、イツキが簡単に乗って来ない事は、予想していた。



「まあ、いいけどな。……お前がそう言うにも…、理由があるんだよな。
ただ、俺の気持ちは変わってないって…、それだけは解って欲しいからさ……」




遅れて梶原が食堂にやって来て、その姿を見掛けた清水は、退散とばかりに席を立つ。
入れ替わり、イツキの前に座る梶原は、イツキの顔を覗き込んで、大丈夫かと聞く。

イツキは大きなため息を付いて、「大丈夫」と言って、もう一度大きなため息を付いた。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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