2015年11月15日

三人の馬鹿・1







ある日の夕方、イツキの部屋のインターフォンが鳴る。
誰だろうかとモニターを覗くと、そこには西崎がいて、一瞬で憂鬱になる。



『社長に頼まれて、ビール持って来たんだよ。…開けろよ』
「……本当ですか?……俺、……いらない…」
『あのなぁ…。……俺、この部屋の鍵、持ってるんだぞ? それなのに、わざわざピンポンしてやったんだろう? 開けろよ』



元々、この部屋の持ち主だった西崎は、この部屋の鍵を持っている。
訪れて、何かしようと言うのなら、勝手に入ってくる事だって出来る。
それをわざわざ、きちんとした手順で来訪したのだから、まあ、半分は信用が出来るのかも知れない。
とりあえず、モニター越しに映る、24缶入りのビール箱を2箱抱える西崎が少し気の毒になって、イツキは扉を開けるのだった。



「…クソ、重てぇ。……ったく、何のお使いだよ…」
「……すみません…」
「まあな。社長に頼まれたんじゃ、断れねぇからな……」



玄関先にビールの箱を下し、西崎はやれやれと言った風に肩を回す。
今日に限って、佐野も、他の誰も手が空いていなかったと言うが、西崎がやって来たのはそれだけが理由ではないだろう。



イツキは、部屋の中までは絶対に入れたくないとばかり、廊下に仁王立ちになっている。

そんなイツキに西崎は、中に入れろとゴリ押しする事もなく、「…メシでも食いに行くか。焼肉、どうだ?」と誘うのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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