2015年11月16日

三人の馬鹿・2







イツキと西崎が訪れたのは、以前、黒川とも行ったことがある焼肉屋だった。
西崎も黒川同様、老店主に深々と頭を下げ、まるで子供のように笑う。


「マサヤとも来たことがあるよ。昔からの馴染みの店だって…」
「ああ。駆け出しの頃、世話になった。…あちこちに顔が利いてな、揉め事も収めてもらったよ…」


西崎は懐かしそうにそう言って、奥の小上がりの座敷に入る。
適当に肉を選び、ビールを頼み、イツキにはウーロン茶を頼み、焼酎をボトルで入れる。

イツキが頼まなくても、イツキのウーロン茶に焼酎を足してくれた。








「…聞いたぜ?…カケルと同じクラスなんだって?」


何杯かのグラスが空いて、お互い程よく酔いが回ったところで、ようやく本題に入る。
イツキも、西崎と食事に行くとなれば当然この話は出るだろうと思ったし、自分も、話しをしておきたかった。


「お前らまた、くだらねぇ事、考えてるんじゃねぇだろうな…」
「…考えてないよ。…西崎さんからも、先輩に話してよ。…もう、…そういうのは無いって…」
「ハァー。結局カケルもお前にもてあそばれたって感じか。勘弁しろよ、ああ見えて、奴はウブなんだぜ」


肉を焼き、酒を飲み、西崎はイツキにそんな愚痴を零す。

自分の息子が、「社長の女」とデキては困るが、かといってそれが全て遊びだったと言われても…面白くはないのだろう。


イツキもグラスに口を付けたまま、困ったような笑みを浮かべる。
もてあそんだ訳では当然無かったけれど、本気でした、とも……言えないのだ。





posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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