2015年11月18日

三人の馬鹿・4







西崎の提案を軽くかわして、イツキはデザートのみかんシャーベットを食べる。
これで少し、酔いが冷めればよいのだけど…今日のイツキは若干、飲み過ぎていた。





会計を済ませ、店の外に出る。
タクシーを拾うには、商店街を通り抜けないといけない。
横に何本か伸びる細い路地は薄暗く、ホテルの入り口らしい看板だけ、目立ち、光る。



「……大丈夫か?飲み過ぎだろう。……歩けるか?」
「…大丈夫です」
「転ぶぞ」



足元の覚束ないイツキの腕を掴み、西崎は支える。
そのまま、閉店した店舗のシャッターにもたれ掛かると、目線の先には、やはりホテルの看板が見える。


「……な。……寄ろうぜ?」
「寄りません。……マサヤに…、怒られちゃう。……西崎さんもでしょ?」
「社長にはオッケー、貰ってるぜ?」
「……うそ…?」


西崎はイツキの耳元で、わざとはあはあと息をして、そんな事を言ってみせる。
手は、すでに、イツキの身体に密着し、腰を摺り寄せ、硬いものを押し当ててくる。

周辺に人通りがなかった訳ではないけれど、ガタイの良い西崎が、小さなイツキに覆いかぶさっていては、それが男か女なのかは解らない。
ホテルの入り口では、よく見かける光景だった。



「嘘じゃねぇ。お前んトコにビール持って行って…、そのまま、………いいって言われたぜ?」
「うそ。……マサヤ、……そんな事…」



『絶対に、言わない』

とは、言い切れずに、イツキは口ごもってしまう。





posted by 白黒ぼたん at 21:13 | TrackBack(0) | 日記
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