2008年07月12日

どこにも


『……から、……で……よ、ダメなんだってよっ』

佐野っちのアパートで一晩中セックスした、その次の日の夕方。
浅い眠りから覚めると佐野っちはいなくて、代わりに外の廊下から声が聞こえた。
…誰かと、電話で話している声だった。

『とにかく今日はダメなんだよ。ちげーよ、浮気じゃなくって……バカ、違うって!』

言い争っているような声色で捲くし立てて、しばらくして、佐野っちが部屋に戻ってきた。
オレと目が合うと慌ててケータイをポケットに突っ込んで、誤魔化すようにハハハと笑う。
それからオレの隣に座って、オレの肩を抱いて、キスを一つする。

その時
オレはここにいちゃいけないんだと…思った。
どこにも、オレの居場所はないんだ。

そう気付いたら、もう、佐野っちの部屋にいることは出来なかった。




部屋に帰る時には少しドキドキした。
マサヤが来ていて…怒ってるんじゃないかと思って。
だけど、それは杞憂で
マサヤが部屋に寄った気配も無かった。

「…なんだよ、あいつ…来る時は毎日来るくせに…」

自分でも…ホッとしたのか、残念なのか解らない言葉を呟いて
とりあえず、風呂に入った。




posted by 白黒ぼたん at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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