2015年11月29日

シャンプー2





「はい。お疲れさまです」



小さな三面鏡を手に、ミツオはイツキの後ろに立つ。
イツキは正面の鏡を覗き込み、毛先を指で摘まみながら、ふふと小さく微笑む。

もともと、髪型や身嗜みには無頓着なタイプなのだが、あまりみっともない格好をしていると黒川に怒られる。
髪の毛は厄介で、放っておけばどんどん伸びてしまうし、かと言って、自分でハサミで切る訳にはいかない。

今までは、あちこち、適当な店で、その都度適当に切ってもらっていたのだけど
ミツオに切ってもらうスタイルは、好みに合っていて、良かった。



「……ありがとうございます。……いいです」
「イツキくん、ずっと寝ちゃってるから、どれだけカットしていいのか心配だったけど」


イツキはカウンターで会計を済ませ、ミツオから上着を受け取る。


「……ねえ、これからどうするの?……俺、もう上がって平気なんだけど、どこか、行かない?」


ミツオの誘いを聞き流しながら、イツキは上着を羽織り、ポケットからケータイを出す。
チカチカと光るそれに、少し、嫌な予感を覚えながら、開くと、

案の定、そこには黒川からの着信があった。


「近くに新しくワインバーが出来て…、あっ、まだ駄目か…。えっと……あっ?」


ミツオの言葉を遮るように、イツキは慌ただしくミツオに礼を言い、頭をぺこりと下げると
ミツオが引き留める間もなく、店から出て行ってしまった。






可哀想なミツオ笑
posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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