2015年12月03日

イツキの決意







「……あっ」



週明け、イツキにしてはめずらしくきちんと学校に行く。
机にカバンを置き、上着を脱ぎ、黒板に書かれた今日の予定を見て、素っ頓狂な声を上げる。


「はよ、イツキ。何、どうした?」

そんなイツキに気付き、梶原が声を掛ける。
本当は、一番最初教室に入って来た時に、イツキの髪が少し短くなった事も気付いていたのだけど、それは、言いそびれてしまった。


「…今日から、…体育かぁ…」
「ああ。…え、何?…お前、授業、出る気なの?」
「………ん」



実はイツキは今年からは、ちゃんと、体育の授業も出ようと決心していた。

体調面で問題があり、基本、見学でも良いのだけど…出来る限りは参加しろだの、替わりにレポートを提出しろだの、意外と煩い。
イロイロ融通をしてもらっていた体育教諭の渡辺は異動してしまったし、新たに、他の教諭を…というのも手間が掛かる。
…加瀬に頼めば、何とかなるとは思っていたけど、…クラス編成でケチがつき、もう信用ならないというのが実のところ。

それならば、とりあえず、休まずに授業に出ていれば、それで普通に単位が貰える。
そう思い、今年は頑張ると決めたのだけど……もとより、気乗りする話ではない。



「…あれ、だってお前、身体がどうとか言ってなかったっけ…?」
「…ジャージ来て、立ってるだけでいいなら、平気。……頑張る」



そう言ってイツキは、今日の三時間目に予定された体育の文字をもう一度見て

まるでこの世の終わりに直面したかのような、深い深い、溜息をついた。




posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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